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7産総研TODAY 2013-02http://unit.aist.go.jp/nri/index_j.html このページの記事に関する問い合わせ:ナノシステム研究部門な化学的、機械的耐久性が高い電解質膜がまだ開発されていません。AMFC用の電解質膜には膜の末端に通常アルキルアンモニウム(−N(CH3)3)+のような(+)電荷をもつ官能基が付いて、この部分を中心にして水分子が集まり、その集まった水分子が作るチャネルの中を水酸化物イオンが伝導されます。しかし水酸化物イオンの高い反応性のためにアルキルアンモニウム基はさまざまな反応経路で分解されてしまいます。私たちは現在、実験グループと協力しながらより耐久性の高いカチオン官能基の探索を行っています。その一つとしてアルキルアンモニウムの代わりにグアニジニウム基をもつ膜の劣化研究を紹介します。図2はAMFC用電解質膜の末端部分に相当するベンジリックグアニジニウムが水酸化物イオンとの反応でどの様に化学的に劣化していくのかをシミュレーションした結果です。水酸化物イオンがグアニジニウムの隣にある炭素原子と結合し、グアニジニウムと炭素原子との結合が切れていくのがわかります。また、この反応以外に引き抜き反応などによりグアニジニウムが劣化することが計算からわかりました。さらに、シミュレーションの結果からグアニジニウムの隣の炭素原子の部分が水酸化物イオンと反応しないように制御すれば劣化をある程度制御できるとの知見を得ることができました。用語解説*� グロータス(Grötthuss)機構:含水した膜中の水のチャネル中に水分子が作る水素結合ネットワークができ、プロトンがそのネットワーク上をジャンプしながら移動する機構。**� ビークル(vehicle)機構:プロトンがH+ のままではなく、H3O+の形で、プロトン以外の金属カチオンと同じように伝導する機構。参考文献[1] Yoong-Kee Choe et al.: J. Phys. Chem. B, 112(37), 11586-11594 (2008).[2] Yoong-Kee Choe et al.: Phys. Chem. Chem. Phys., 11, 3892-3899 (2009).ナノシステム研究部門エネルギー材料シミュレーショングループ崔ちぇー 隆ゆんき基大おおたに谷 実みのるダイナミックプロセスシミュレーショングループ土つちだ田 英えいじ二図2 ベンジリックグアニジニウムが水酸化物イオンとの反応により劣化していく様子一番左の状態が反応物であり、真ん中のような遷移状態を経て、一番右の生成物が生成される。NNNNOHOH-OHNNNNNグアニジニウム基27.5 kcal/mol302520151050ー5ー10ー15ー20エネルギー(kcal/mol)
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