Vol13-2
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16産総研TODAY 2013-02テップワイズ荷重方式ボールオンフラット試験)を採用することで、これまでよりも短時間で転動疲労特性の優劣を判定できるようにしました(図1)。この評価手法を用いて、ベアリング用に開発された窒化ケイ素材料と、汎用の窒化ケイ素材料とでは、同じ窒化ケイ素でも、明確な差が現れることを明らかにしました。破壊じん性の評価(ISO14627)短時間の荷重に対する材料の壊れにくさの指標としては破壊じん性があり、ベアリング用窒化ケイ素の等級分類にも用いられています。この規格では、ベアリングボールなどの小さい部品の評価が可能となるように圧子圧入(IF)法を採用しました。硬さ試験機を用いて試験片にダイヤモンド製の四角錐圧子(ビッカース圧子)を圧入し、発生したき裂の長さを半経験式に代入することで破壊じん性(破壊抵抗)を算出します(図2)。これらの規格発行によって、窒化ケイ素の材料としての優秀性を客観的に示すことが可能となりました。窒化ケイ素ベアリングを安心して使えるようになり、材料特性に優れる窒化ケイ素の普及が一層加速されると期待されます。ベアリング用窒化ケイ素の寿命および破壊特性評価適切な特性評価による新素材の普及および競争力強化への貢献標準化の背景ボールベアリングなどの転がり軸受を構成する部品には、構造材料の中でも特に高品質の材質のものが用いられますが、真空中や高温中、毎分数千回転を超える超高速回転など特殊環境では、近年、既存の金属系材料に代わって、耐熱性や耐摩耗性に優れたセラミックスの使用が進められています。なかでも窒化ケイ素は耐久性・強度などの点でほかのセラミックスよりも優れており、ベアリング用材料としての普及が期待されています。そのため2005年には材料分類規格(ISO26602)が発行されましたが、どのように材料特性を評価するかまでは明らかにされていませんでした。そこで産総研では、同年から経済産業省の基準認証研究開発制度の下で特性評価法に関する研究開発を行い、この度、その成果を基にした二つのISO規格が発行されました。転動疲労特性の評価(ISO14628)ベアリング用材料の耐久性を評価するには、繰り返し転がり接触を受ける時の材料の挙動(転動疲労特性)を調べる必要があります。この規格では、平板試験片に対して一定時間経過する毎に試験荷重を階段状に増加させる手法(ス図1 ボールオンフラット試験による転動疲労特性評価図2 IF法による破壊じん性評価兼松 渉かねまつ わたる計測フロンティア研究部門不均質性解析研究グループ研究グループ長(中部センター)1984年に旧名古屋工業技術試験所入所以来、構造用セラミックスの機械的特性評価に関わる研究に従事し、これまで本件(転動疲労)を含め特性評価に関するJIS1件、ISO 2件の発行に直接かかわってきました。今回の規格発行までには、本格的な研究に着手してからだけでも7年以上が必要でした。改めて標準化は息の長い仕事であることを感じています。宮崎 広行みやざき ひろゆき先進製造プロセス研究部門 セラミック組織制御プロセス研究グループ主任研究員(中部センター)入所以来、セラミックスの機械的および熱的特性に関する研究を行ってきました。これまでの機械試験手法では評価が難しい、ベアリングボールや放熱基板など小型のセラミックス製品を対象とした機械特性測定法の国際規格化に向けた研究を進めています。これら日本製品の品質保証や優位性の証明に役立つ標準的な試験手法の開発を通して、産業界への貢献をしたいと考えています。関連情報:● 参考文献兼松 渉: 産総研TODAY, 10(8), 6 - 7 (2010).ダイヤモンドの4角錐き裂長さ残留応力
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