Vol13-2
11/20

11産総研TODAY 2013-02http://unit.aist.go.jp/nri/index_j.html このページの記事に関する問い合わせ:ナノシステム研究部門液晶材料の面白味液晶材料はコンピューターや携帯端末のディスプレイに用いられることで現代の情報社会に貢献していることはよく知られていますが、そこでは液晶が示す電気的に制御可能な自己組織化構造と、その光学的性質が有効に用いられています。液晶は自己組織的な秩序構造を示すソフトマテリアルの典型例として、これまで基礎科学と工学的応用の両方の観点から盛んに研究されてきました。また液晶が示す秩序構造には豊富な未開拓領域が予想されることから、魅力的な研究対象として実験、理論、シミュレーションの複合的研究が世界的に進められています。産総研発の研究結果として、以下に二つの例を示します。薄い空間に閉じ込めた液晶中に誘起されるスカーミオン格子の発見強磁性体などの固体系などでその役割が注目されているスカーミオンと呼ばれる渦状の構造からなる格子を、薄い空間に閉じ込めた液晶という固体系とは全く異なる系が形成しうることを、シミュレーションを用いて理論的に初めて発見しました。この結果は、液晶がこれまで知られているよりもはるかに豊かな秩序構造をとることを示すものです。それらの新しい秩序構造は、液晶の新しい機能や応用の可能性をもたらすことが期待されます[1] [2]。 マイクロリンクルの溝に閉じ込めたネマチック液晶に誘起されるジグザグ線欠陥の発見マイクロリンクルと呼ばれる表面座屈凹凸構造の溝に液晶を閉じ込めると、溝の方向に周期的な液晶配向構造が形成されることを実験的に発見しました。この構造の形成には、液晶を閉じ込めた効果と液晶弾性異方性が重要であることを理論的に明らかにしました。また、この液晶配向構造は内部にジグザグ状の線欠陥を含みますが、その構造に周期的に微粒子を捕捉することができることもわかりました。この結果は、液晶の自己組織化に基づいた、微粒子など微小物体の簡便なパターニング、捕捉操作、光学素子、センサーなどへの応用展開が期待されます[3] [4]。液晶材料における新しい秩序構造の発見参考文献[1] J. Fukuda and S. Žumer: Nature Communications, 2, 246 (2011).[2] 主な研究成果 2011年4月6日「液晶の新たな秩序構造を発見」[3] T. Ohzono and J. Fukuda: Nature Communications, 3, 701 (2012).[4] プレス発表 2012年2月29日「微細な溝に閉じ込めた液晶が作り出す新たな配向構造」ナノシステム研究部門ソフトマターモデリンググループ福ふくだ田 順じゅんいち一ナノシステム研究部門ソフトメカニクスグループ大おおぞの園 拓たくや哉薄い空間に閉じ込めた液晶において、ベクトル的に表現される液晶の配向秩序が形成する渦状構造(スカーミオン構造)が規則的に並び、スカーミオン格子を形成している。スカーミオン構造マイクロリンクルの溝に閉じ込められた液晶の自己組織化による周期的な配向構造周期的液晶配向の偏光顕微鏡像線欠陥溝に閉じ込められた液晶マイクロリンクル“T”の釘マークは各面に投影したその付近の液晶の配向方向を示し、釘の頭が各面から飛び出す方向を示す

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です