2013
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60■ 第三者意見第三者意見第三者意見 「産総研レポート2013 社会・環境報告書」第三者意見第三者意見発行に寄せて産総研レポート2013 発行に寄せて 産総研では、2004年度に「環境報告書2004」を発行して以降、10年目を迎えました。当初のつくばセンターにおける環境活動および労働安全衛生活動に関する報告書から、全国の研究拠点を対象に拡大するとともに、組織の社会的責任(CSR)面からの活動報告を加え、最近ではISO26000に基づいて構成した「産総研レポート 社会・環境報告」として発行してきました。 今回の報告書では、わが国の産業競争力強化に向けて産総研が担う「オープンイノベーションの推進」を主要テーマとして取り上げ、巻頭特集での「つくばイノベーションアリーナナノテクノロジー拠点」構想とその活動や、2014年4月に開所する「福島再生可能エネルギー研究所」について報告しています。また、研究特集では、環境に優しい研究として、太陽電池モジュールや地熱・地中熱などの研究を紹介しています。また、組織統治として重要な研究活動に関する評価体制と活動について、環境報告では新棟建設に伴う省エネルギー対策や生物多様性に関する体制や活動について新たに報告しました。 「社会の中で、社会のために」をスローガンとする産総研として、多くのステークホルダーの方々が知りたい産総研の活動を分かり易く紹介することは、我々の義務であり使命でもあります。本報告書を通じて、社会と一層深い信頼関係を築くことに繋がるよう努力していく所存です。瀬戸 政宏 理事・広報部長 特定非営利活動法人 循環型社会研究会 代表 山口民雄 秀逸な報告書の重要な要件の一つに、社会的要請・関心を反映した編集方針の確立とその方針が報告書全体に貫かれていることが挙げられます。本報告書の編集方針では、「オープンイノベーション推進」と「一層深い信頼関係を築く」がその柱になっています。 そこで、方針と報告内容を検証しました。前者については、政府が「科学技術イノベーション」を成長戦略の柱に据えるなど、多くの人々の関心の的になっています。イノベーションは社会に新たな価値を生み出すために不可欠であるものの、過去を振り返ると「イノベーション重視」と喧伝されるものの、必ずしもわが国の産業競争力の強化につながってきたとは言いきれません。それは、卓越した基礎研究をベースにイノベーションが組み立てられていなかったり、異分野研究者のコラボレーションによるイノベーション例が少ないためといわれています。 本報告書では、トップメッセージをはじめ、巻頭特集、オープンイノベーション、イノベーションスクールなどによって産総研のイノベーションに対する“熱い意志“と“真のイノベーション”を読み取ることができます。産総研では基礎研究から製品化研究まで切れ目なく展開する「本格研究」に定評があり、「イノベーションの素材が豊富にある」(金山理事)ことが十分推察できます。また、同氏は、業種や領域を越えて人が集まり、「仮想的な垂直連携を何本も作りたい」とおしゃっています。そのため産業競争力強化に直結する“真のイノベーション”が具現化することを予感させます。2013年に入り、TIA連携棟が完成し、つくばイノベーションアリーナ推進本部が設立されました。こうした推進体制、場の設立によって、どのようなイノベーションが誕生したかという報告を楽しみにしています。 後者については、これまでも「あまり知られていない」との認識から報告書で注力されてきた点です。そのため、これまでの報告やイベントを通じて相当程度、産総研の実態や社会的存在価値については理解が進んできていることと思います。しかし、より「一層深い信頼関係を築く」との意志が報告書から伝わってきます。今回初めて記載された「研究活動等の評価」はその象徴で、「評価結果を公開して透明性の確保と国民の理解を促し説明責任を果たす」ことは「信頼関係を築く」要といえましょう。 秀逸な報告書の要件として、社会の動向を敏感に受け止め報告書に反映することも挙げられます。この視点で本報告書を拝見すると、新たに「障がい者の雇用状況(障がい別)」が記載され、精神障がい者が17%雇用されていることを示しています。2013年4月に精神障がい者の雇用を企業に義務付ける障害者雇用促進法の改正が閣議決定されたことから、こうした障がい別雇用状況の開示は重要なポイントとなります。現在ではこの開示は少なく、敏感な感性がなければ記載できないといえましょう。 以上のように、本報告書は独立行政法人の社会的責任報告書としては完成度の高いものになっていますが、「一層深い信頼関係を築く」ために記載の要望を申し上げます。第1は、昨年も指摘させていただいた、メンタルヘルスやハラスメントの定量的記載です。確かに、この両者については紙幅も割き、活動状況も詳述されています。しかし、こうした活動が功を奏し改善に向かっているのか、否か分かりません。定量的記載を行い、原因分析をし、新たな施策を展開させて事態が好転した事例は少なくありません。第2は、不祥事に対する再発防止策の実施状況、有効性確認の報告です。報告書では毎年、不祥事について誠実に報告されており高く評価いたしますが、再発防止策の検証報告がありません。再発防止策の検証と報告こそが最高の再発防止策ではないでしょうか。循環型社会研究会:次世代に継承すべき自然生態系と調和した社会の在り方を地球的視点から考察し、地域における市民、事業者、行政の循環型社会形成に向けた取り組みの研究、支援、実践を行うことを目的とする市民団体。CSRワークショップで、CSRのあるべき姿を研究し、提言活動を行っている。�(http://www.nord-ise.com/junkan/).

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