2013
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組織統治4■ 組織統治巻頭特集TIA-nanoを世界的ナノテク拠点に つくばイノベーションアリーナナノテクノロジー拠点(TIA-nano)の発足から丸4年となる今年、つくばイノベーションアリーナ推進本部(TIA推進本部)の設立やTIA連携棟の完成など、運営体制や施設の整備が着々と進んでいます。金山理事に、意気込みと展望を聞きました。金山敏彦(かなやま としひこ)理事インタビュー <つくばイノベーションアリーナ推進本部長> 人と技術と産業の出会いを創出 「2009年の発足以来、TIA拠点活用プロジェクトに参加した企業は約130社、企業からの外部研究者は800人を超えています。すでにいくつもの研究成果が発表され、中にはいかにもTIA-nanoらしい異分野融合による成果も見られます」と、金山理事は世界的拠点づくりに向けた手応えを語ります。 ナノテクノロジーはあらゆるものづくりの基盤技術として期待を集めていますが、領域がとても広範囲にわたる上に技術が複雑化し、どの技術をどの目的に使えばいいのかが見えにくくなっています。そうした中、TIA-nanoが目指すのは、技術を社会に送り出す仕組みづくり。ポイントは、「成果を使う」ためではなく、「イノベーションを育てる」ために、研究の途中段階から産学官のさまざまな研究者に参加してもらい、人と技術と産業の出会いを創出することにあります。 「欧米では産学官が共同歩調をとり、国が大きな予算を投入して集中的に取り組んでいます。日本でそれができるのは、膨大な科学技術の知見が集積する筑波研究学園都市をおいて他にありません。産総研にはイノベーションの素材が豊富にあります。ここから新しい産業をつくり、日本の競争力を高め、安全で豊かに生きられる社会づくりに貢献するのが私たちの使命です」 垂直連携による産業化を目指す 日本の産業構造を振り返ると、大手メーカー1社が川上から川下まで網羅する垂直連携型の時代がありました。しかし、技術の高度化に伴いその構造は崩れています。一方で、例えば素材を作る、デバイスを作る、システムを作るなど、細分化された中で個々の企業がバトンタッチする相手を探していたのでは、新しいものがいつできるか分かりません。だからこそ、業種や領域を越えて人が集まる拠点が必要だと金山理事は強調します。 「TIA-nanoをコアとして企業が集まることで、結果的に仮想的な垂直連携を何本も作りたいと考えています。ナノテクノロジーが目指すのは、まず実現したい性能が先にあって、それにかなう材料をゼロから作り出すこと。そこが、既存の材料を使う従来型ものづくりとの決定的な違いです。ナノテクノロジーというのは単独の技術では使い物になりません。必ず別の階層の技術と融合する必要があります。TIA-nanoの参加企業がそれぞれの意図に基づいた研究をする中で、連携が生まれ、産業化への道筋が開かれる。参加企業数が多いほど、その可能性も大きくなるでしょう」 思わぬ出会いや新しい垂直連携への期待をさらに膨らませるため、外国企業や外国人研究者の参加を増やすのも課題の一つ。TIA-nanoを海外に開かれた拠点とし、オープンイノベーションハブ機能の強化を図って行きます。

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