2011
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訪問者に電球、電球型蛍光ランプとLED電球を比較点灯して見せるための点灯盤。手前右のLED照明はいわゆる粗悪品で暗さや色の悪さが目立つ。ユーザーには勿論歓迎されないが、訪問者へのデモンストレーションには最適で大活躍!LEDの明るさ評価のための新たな標準の開発■信頼性の高い明るさ評価の必要性 LED照明は、従来の白熱灯や蛍光灯に比べてエネルギー効率・寿命の点で優れており、特に震災後はその省エネ効果が注目されています。しかし、LED照明が、コマーシャルやパッケージ記載では従来光源を上回る明るさと称しながら、実際に家で使うと暗いものばかりだったとしたらどうなるでしょう。皆さんはLED照明を再び買おうと思うでしょうか? 性能評価の裏付けがいい加減では、新製品には百害あって一利なし、普及が阻害される恐れさえあります。 LED照明は、従来照明に比べスペクトルが多様、光の広がり方も複雑かつ多様、光源自体の大きさや形状のバリエーションが豊富、など、従来照明と特徴が大きく異なるため、明るさの定量化に使われてきたこれまでの「ものさし」(標準)を、LED照明に適用した場合は、測定結果が大きくずれる可能性があります。 従来の明るさ評価技術は、これまでの長い研究開発と現場での検証に裏打ちされた暗黙の信頼感を勝ち得ているため、このような問題意識は未だに広く共有されていませんが、一方で、市場の期待を背景にしたLED照明の普及は爆発的で、LED照明に適した新たな標準の開発が急がれています。■「明るさ」を定量化するには 照明の明るさを評価するのに重要な量は「全光束」と呼ばれる量で、光源から全空間に放出される光の明るさの総量を示し、人間の目で見た際の明るさに比例するように定量化されています。人間の目の感度は、波長ごとに異なっていますので、全光束は、光が各波長で単位時間・単位波長幅あたり運ぶエネルギーに、波長ごとの人間の目の感度をかけ、波長積分することで求められます。 全光束の評価方法としては、積分球に基づく方法は簡便に全光束測定ができるため、広く普及しています。積分球は、光取り出し口に受光器を設置し、積分球+受光器の波長毎の感度を人間の目に合わせることで、受光器出力を光源の全光束に比例させることができます。この場合、全光束標準電球と呼ばれる全光束の絶対値が値付けられた標準光源と評価対象の光源を積分球+受光器を介して比較すれば評価対象の光源の全光束測定が可能になります。 現実的には、積分球+受光器の波長毎の感度を人間の目に一致させることは不可能なため、全光束標準電球とスペクトルが違う場合は、人間の目の感度からのズレ分を色補正係数をかけて補正しなければなりません。色補正係数の評価は一般に容易ではありませんが、従来照明の場合は幸運にも、スペクトルが全光束標準電球と大きく違わない、種類が少ないなど、この評価の手間を軽減できる条件が整っており、積分球と全光束標準電球による全光束測定が広く普及節電意識が高まる中、新しい照明として、LED照明が私たちの家庭にも急速に普及し始めています。商品を選ぶとき、パッケージ等に記載されている性能値を参考にする皆さんも多いのではないかと思いますが、その陰には、あくなき検証を繰り返す標準研究者の世界がありました。研究特集:産総研における省エネルギー研究 ●318オープンイノベーションオープンイノベーション

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