2011
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炭化ケイ素(SiC)ウエハ上に3mm角素子を作製したデバイスチップ(左がSBD、右がIEMOS)炭化ケイ素(SiC)単結晶成長炉内部模型研究者が産総研に入り、共同研究を展開しています。 岩室憲幸研究チーム長は、富士電機から今回のプロジェクトに参加している一人です。「量産化するには、良品率を100%に近づける生産技術を確立する必要があります。また、シリコン(Si)パワーデバイスにできたことは、炭化ケイ素(SiC)パワーデバイスでも当然できなければなりません。さらに、デバイスだけ頑張るのではなく、パッケージ技術のような周辺技術も一緒に開発していく必要があります。製品化までには予期せぬ問題も頻発しますので、完成度を高めるのは非常に大変です。多分いまが一番つらい時でしょう。登山と同じで9合目までは楽で、最後の9合目から頂上までが大変なんです。ここを登り切って、皆さんに喜んでいただける製品を完成させたいと思っています。」 炭化ケイ素(SiC)パワーデバイスは、従来のシリコン(Si)パワーデバイスに比べて、動作可能な電圧が高い、損失が小さい、高速動作が可能、動作可能な温度が高いなどの特徴があります。産総研では、2011年度にSBD、2012年度にはIEMOSのサンプル供給を開始する予定です。パワーデバイスがつくる夢の未来像 産総研の炭化ケイ素(SiC)パワーデバイスが実用化されたら、世の中はどのように変わるのでしょう。私たちの知らないうちに日常生活に入り込み、家電量販店でも「SiC○○インバータ」というような表示が当たり前になるかもしれません。 この技術が活用できる分野として、家電製品から産業用モータ、さらにはハイブリッドカーや電気自動車、鉄道などの交通インフラなどが見込まれます。また、最近注目が集まっている再生可能エネルギーの分野でも、例えば太陽電池の変換効率が上がるなどすれば、太陽光発電システムの普及が一気に進むことも考えらます。 「産総研では、世界最高レベルの突出した要素技術を確立しました。量産化が実現すれば、炭化ケイ素(SiC)を使った世界最高水準のSBDとIEMOSの両方を社会に送り出すことができ、間違いなく世界から頭2つ分位先んじることができます。パワーデバイスをリードしてきた日本は、この分野で絶対に負けるわけにはいきません。製品化まで責任を持つのは、研究者としての使命。それに携われるのは非常に光栄なことで、やりがいの大きい仕事です」と、福田憲司主幹研究員は意欲を燃やします。 今後も、パワーデバイスの特性をさらに向上させる研究、さらに最高の性能を発揮できるような電力変換器の開発へと、研究者たちの挑戦は続きます。先進パワーエレクロトロニクス研究センター SiCデバイス設計チーム研究チーム長 岩室 憲幸(いわむろ のりゆき)先進パワーエレクロトロニクス研究センター SiCパワーデバイスチーム主任研究員 原田 信介(はらだ しんすけ)先進パワーエレクロトロニクス研究センター主幹研究員 福田 憲司(ふくだ けんじ)15オープンイノベーションオープンイノベーション

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