産総研レポート
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第三者意見47 昨年の第三者意見の末尾に「産総研におきましてもISO26000などを参考にされ、独立行政法人としての初の『SR報告書』を発行されることを期待します」と記述しました。その後、産総研ではSR検討会を設置して議論を重ね、2010年版は、社会的責任(SR)への取り組みと、環境報告ガイドラインの掲載項目とを一体的に編集し、「産総研レポート」として発行することになりました。ISO26000の発行の年に独立行政法人が社会的責任の7つの主要課題に対応して(消費者課題は除く)報告書を発行することの意義は大変大きいと考えます。 社会性報告では、先ず産総研の研究開発姿勢として「オープンイノベーションの実現」を紹介しています。産総研の憲章である「社会の中で、社会のために」の具体的な取り組みを描き、社会との連携を重視する産総研らしさをよく伝えています。社会性報告全般としては、SR報告として位置付けているため記載項目は昨年と比べ大幅に充実しています。また、調達の適正な執行、利益相反マネジメントなど産総研ならではの記載もあり、読者の関心事に応えています。 ただ、記載内容を精査しますと、内容的には概説で終わっている点も少なくありません。例えば、コンプライアンス推進本部の組織体制と現場の関係、労働時間をはじめメンタルヘルス、ハラスメントの実態や施策の成果、セルフチェックの結果と評価などは詳細な報告が必要です。また、平成18年度から研究倫理や安全管理について研修していますが、この両者は産総研における重要な項目であり、その考え方については詳述していただきたいと思います。 巻頭特集「産総研の研究」は記述が分かりやすく充実して読み応えがあります。しばしば報告書における研究内容の紹介は、内容の正確性に固執するあまり難解になる傾向にあります。しかし、本特集は直接当事者にインタビューして研究活動の一端を生き生きと紹介しており、興味と関心を呼び起こす効果があると考えます。 一般に、環境報告書からCSR(SR)報告書にシフトしていくと、環境報告が簡略化される傾向がありますが、読者の環境報告に対する関心内容は従前と変わらない、もしくはより関心が高度化しているだけに、報告書もその関心に応えることが肝要です。本報告書の環境報告を拝見しますと、グリーン契約やアスベスト対策などの新規項目がある一方、これまでの報告項目が簡略化あるいは読者の関心事に十分に応えた記載になっていないことが気になります。 多種・多様な化学物質を使用する産総研では、適正な管理システムがあります。読者はそうしたシステムが具体的にどのように機能しているかに高い関心がありますが、残念ながらそうした記載は省略されています。また、廃棄物の発生や処理についても研究所ならではの特異性があり、そこに焦点を当てた説明が必要と思います。廃棄物と化学物質は、昨年の報告書のアンケートにおいて「報告書の内容で印象に残った項目」の第1位と第2位ですので、次号ではこうした点も留意し、より深い記載を期待します。 2009年に引き続き、特定非営利法人循環型社会研究会の山口民雄代表と田中宏次郎副代表からご意見を頂戴いたしました。大変お忙しいなか、弊所の産総研レポートをお読みいただき、ご意見・ご提言いただきましたことに御礼申し上げます。 産総研レポートは、2009年度環境報告書の第三者意見でいただいた「独立行政法人として初のSR報告書の発行を期待する」とのご助言により発行することになりました。産総研の取り組みを、ステークホルダーの皆様に、わかりやすく、親しみやすくお伝えできるよう努めました。 ご指摘いただきました記載項目の内容が充分でない箇所につきましては、ステークホルダーの皆様のご理解をより得られるよう、課題を真摯に受け止め、改善に努めてまいります。 産総研で働く一人一人が「社会の中で、社会のために」の理念のもと、持続的発展可能な社会の実現に貢献する研究開発をはじめSR活動について、わかりやすい形で説明していくことが使命であるという意識を高め、より一層推進してまいります。「産総研レポート2010 社会・環境報告」第三者意見地域拠点・問合せ先第三者意見第三者意見環境報告書2009アンケート集計結果特定非営利活動法人 循環型社会研究会代表 山口民雄副代表 田中宏次郎第三者意見を受けて理事・広報部長 瀬戸政宏
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