産総研レポート
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11コンパクト化学システム研究センター コンパクトシステムエンジニアリングチーム主任研究員相澤 崇史(あいざわ たかふみ)理学博士コンパクト化学システム研究センター 主幹研究員 兼コンパクトシステムエンジニアリングチーム研究チーム長鈴木 明(すずき あきら)工学博士コンパクト化学システム研究センター コンパクトシステムエンジニアリングチーム研究員川﨑 慎一朗(かわさき しんいちろう)博士(環境科学)度が高くなり、溶けきれなかった分が析出してしまっていたのです。そこで、瞬間的な混合を可能にするマイクロミキサーを採用し、両者を迅速に混合させることに成功し、問題が解決されたのです。 ついに、CO2を用いた塗装法が実用化されました。従来の塗装技術に比べVOCの排出量を1/3にまで抑えられるようになったのです。スプレーすると、CO2が瞬時に気体となって大気中に逃げるので、CO2が溶け込んでいた塗料の粒子がより微粒子化されます。塗装表面に接着した後に微粒子同士がくっついて膜を形成することで、滑らかでより美しい塗装表面をつくり出すこともわかったのです。新塗装法の未来 現在、この塗装法は、携帯電話のボタンや車の中の部品の塗装に使われています。今後は、家具や車といった大型製品の塗装にも応用されていくことでしょう。また、塗料を工夫することでメタリック加工も可能。意匠性の高い製品にも対応できます。 さらに、微粒子化する技術は、塗装工業以外にも応用が期待されます。例えば、薬剤を入れるナノカプセルの製造や、アスピリン、カフェイン、イブプロフェンなど医薬用有機物のナノ粒子化、また新しい食感の飲食物の開発などが考えられています。 地元企業からの相談がきっかけで生まれたこの技術は、産総研内外のさまざまな人の手によって磨き上げられてきました。そしてまた、産総研の外に出て活躍する日を待っています。「この技術の特徴は中小企業も導入できるくらいコストが低いこと。だから、相当な広がりを見せていくと思います」。そんな期待を背負い、医薬品や食品などの異分野へと活躍のフィールドを広げていくのです。巻頭特集(左)小型の実験装置マイクロミキサーで塗料とCO2を迅速に混合させることができる(右)レーシングカーをモデルとした塗装サンプル
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