産総研レポート
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09ヒューマンライフテクノロジー研究部門ニューロテクノロジー研究グループ研究グループ長 長谷川 良平(はせがわ りょうへい)博士(理学)ユーザー側に立った技術開発 研究者は、自分の技術力や知識を最大限に活かしたいという思いから、利用者のニーズとは離れた必要性の少ない機能を装置に盛り込む傾向にあります。しかし、それによって機器の価格が上がってしまったり、扱い方が難しくなったりしてしまっては、せっかくできた製品を使ってくれる人が限られてしまいます。そういった観点から、長谷川研究グループ長は、研究者として技術を追い求めるよりも、使う人の立場に立って開発を行うことを目指しています。 ニューロコミュニケーターの場合は、新聞やテレビを見て自ら研究所に問い合わせをしてくださった患者さんのご家族を対象に「ニューロコミュニケーション友の会」を立ち上げました。現在、「友の会」のメンバーは機器の技術内容や使い方のレクチャーを受けるなど、モニター実験の準備に備えています。さらに、重度の運動障害を持つご家族がどのような生活をしていて、どのような介護が必要かなどを開発者に伝えることによって、直接開発に携わっています。「開発中の段階で、将来のユーザーとなる人からの意見や要望、感想などをくり返し聞くようにしています。それを取り入れることによって、誰でも簡単に使える装置にしたいですね。」というコメントには、ユーザー第一という長谷川研究グループ長の考えが表れています。加えて、「製品化することも大事ですが、売れたら終わりではありません。症状の変化に合わせて、装置やメッセージのデータベースを調節するなど使用中のサポートもできる体制をつくっていきたい。」と、ユーザーが何を望むのかという視点をくずしません。現在、産総研の重点化研究予算や厚生労働省の助成を受けて開発中のニューロコミュニケーターは、近い将来、多くの人々の間で普通に使われ、愛される製品になるでしょう。巻頭特集Interviewニューロコミュニケーター・携帯電話の半分ほどのサイズの 小型の脳波計で頭頂部を中心 として配置された8個の電極か ら脳波を記録する・ 伝えたいメッセージの内容が含まれているイラストに意識を集中 しておくと、そのイラストがフラッシュしたときに「P300」という脳 波が発生する。それをリアルタイムで検出することで、どのイラス トを選ぼうとしているのかを推測する。

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