2010年4月20日掲載
4月13日京王プラザホテルにて、平成22年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(科学技術賞・若手科学者賞)の表彰式、4月15日産業技術総合研究所つくばセンターにて平成22年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(創意工夫功労者賞)の伝達式が行われました。 この表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的とすることを趣旨として、文部科学省が主催しているものです。 |
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| 川端文部科学大臣 ご祝辞 | |
| 開発部門 | |
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地質情報研究部門 「認証地球化学標準物質の開発」 ISOの定める基準に従った品質管理により試料調製及び認証値の設定を行い、ISO認定機関より標準物質生産者としての認定を取得し、主要成分について化学分析のトレーサビリティが証明できる、認証地球化学標準物質を開発した。これにより、本標準物質を用いた化学分析へのトレーサビリティが確立され、地球科学関連物質に関する分析の信頼性の向上及び国際的な標準化に大きく貢献する。 |
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サステナブルマテリアル研究部門 「難燃性マグネシウム合金の開発」 Mg合金の難燃化に成功し、実用成形加工技術を整備することにより、実用的な基幹材料へと変貌させた。具体的には、Ca添加法による難燃化機構を解明し、溶製プロセスで必須であった防燃ガスを不用とし、簡易な精製技術の開発によって難燃性Mg合金の製造プロセスを確立し、素材メーカーへの技術移転と実用化を進めた。将来の様々な輸送機器分野の省エネルギー及び二酸化炭素排出量削減において、大きな社会的・経済的波及効果を有する。 |
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| 研究部門 | |
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計測標準研究部門 「体温域の赤外放射温度標準の研究」 赤外波長域における精密分光放射測定技術等を開発し、赤外線式体温計の校正・評価の基準となる高精度な標準器(黒体炉)の設計・評価を可能とした。また、0.001℃レベルの高い温度分解能を持つ直流動作型赤外放射温度計を開発し、体温域における世界最高水準の不確かさを持つ標準黒体炉システムが実現された。体温域をはじめとして、広く室温領域において、赤外放射温度の新たな国家標準が確立され、これに基づく標準供給体系が構築された。 |
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光技術研究部門 「フィルム上への電子デバイスの印刷形成技術に関する研究」 光や圧力等の熱以外のエネルギーを用いて、インクの焼成反応を起こさせる技術の研究開発を行い、金属や酸化物であっても200℃以下の焼成で、高い電子機能を発現する導電層や絶縁層等が形成できることを見出した。プラスチックフィルム上に、アルミニウム配線や、高機能トランジスタ、メモリ、ダイオード等の電子部品をすべて印刷で形成することが可能になった。フレキシブル太陽電池やフレキシブルディスプレイなどを広く普及させることが期待される。 |
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メタンハイドレート研究センター 「メタンハイドレート生産手法の研究」 メタンハイドレートは日本周辺海域に大量に存在することが推定されており、新しい炭化水素エネルギーとして期待されている。効率的な生産手段は「減圧法」を主体とする手法が有効であることが室内実験、シミュレーション、フィールド試験を通じた科学的アプローチによって、世界で初めて実証された。日本のエネルギー安全保障の面から、メタンハイドレート開発の商業化に大きく寄与するものと期待される。 |
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バイオメディカル研究部門 「酵素反応の動的分子機構の構造的研究」 酵素の化学反応の各反応素過程を表した複数の三次元構造をつなぎ合わせることにより、酵素の動的かつ連続的な反応のようすを我々の眼で見えるかたちで提示可能であることを示した。特に、核酸の鋳型を用いない核酸合成酵素や、ペプチド結合形成を触媒する酵素について、それらの酵素の化学反応の詳細な様子を連続した動画として提示することに成功し、分子生物学分野において長年の謎であったそれらの酵素の反応機構を解明することに貢献した。 |
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| 若手科学者賞 | |
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計測フロンティア研究部門 大村英樹主任研究員 「位相制御レーザーパルスを用いた分子操作技術の研究」 光位相を精密に制御した位相制御レーザーパルスを用いて、気体分子における異方性光トンネルイオン化の量子制御(コヒーレント制御)とその結果として起こる分子配向操作(配向分子選択イオン化)を世界に先駆けて実現した。従来困難とされていた分子の(頭と尻尾を区別した)分子配向操作を量子制御の手法を用いて実現し、世界的にもきわめて独自性が高い。反応制御や物質合成など新しい産業技術開拓に資すると期待される。 |
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活断層・地震研究センター 澤井祐紀主任研究員 「沿岸域の堆積物を用いた巨大地震の履歴解明に関する研究」 過去に発生した海溝型巨大地震の履歴を明らかにすることを目的とし、地層に残された地震や津波の痕跡を解読する研究を進めてきた。特に、沿岸に分布する津波堆積物を自然が残した巨大津波の記録として捉え、北海道や仙台平野等で過去の津波の規模と再来間隔を高い信頼性で復元した。また、珪藻類の特徴を利用し、数百年前の地殻変動を復元する方法を開発した。以上の成果は、海溝型巨大地震の予測精度の向上に貢献すると期待される。 |
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光技術研究部門 渡邉歴研究員 「超短光パルス多光子過程に基づく光素子創成と細胞操作の研究」 光照射により物質内部に局所的に誘起される非線形光学現象を実時間で精密観測する光学システムを開発し、光フィラメント形成による構造変化の誘起、ボイドの移動という新現象発見と改質制御に成功した。さらに、透明材料内部に三次元微小光学素子を作製し、その設計法と評価技術を確立した。また、生きた細胞内部の細胞小器官の可視化と操作制御手法を提案、実証した。 |
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| 創意工夫功労者賞 | |
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| 計測標準研究部門 小谷野泰宏研究員 「定常流小型流量計試験装置の改善」 ガスメーターの性能を試験するための設備である定常流小型流量計試験装置に音速ノズルメーターユニットを導入することにより、高精度で安定した流量測定が可能となり、結果的に試験・評価時間を大幅に短縮することが出来るようになった。また、機械式や電子式など表示部の形式に関わらず自動読取を可能としたことにより試験時間を短縮すると共に効率化を図ることができた。 |
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地質調査情報センター 宮崎純一主幹 「地質図DB構築に向けたベクトル数値化に係る考案」 地質図類をベクトル数値化し、数値ファイルとして整備することにより、GIS(地理情報システム)を通じた地質図情報の効率的な利活用を目標に、地質図情報の作成・整備のための基準を検討・考案し、これに基づいて種々の地質図のベクトル数値化を進めデータファイルとして整備・公開してきた。ベクトル数値化の成果は、地質学に係る基礎的研究に大きく貢献するとともに、地質関連データベース構築等において基本データとして広く使用されている。 |
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