
たとえば、お寺の釣り鐘をつくと、ゴーンという音が響きます。これは言うまでもなく、つかれた衝撃で釣り鐘が振動して、その振動が空気中に伝わっていくためです。釣り鐘の音はすぐには消えず、しばらく響いていますが、それは釣り鐘の振動がすぐには止まらないからです。
衝撃を受けると振動するのは、私たちの住むこの地球も同様です。たとえば大きな地震があると、地球は数分から1時間くらいの周期で何日も振動します。大津波を引き起こした2004年のスマトラ島沖地震では、地震の発生から数週間にわたって振動が続きました。私たちがそれを感じられなかったのは、振動の周期が長く、あまりにもゆっくりと揺れていたからです。
この現象は、「地球自由振動」と呼ばれています。1960年に南米で発生したチリ地震の際に、初めて観測されました。
それ以降、観測技術の進歩によって、マグニチュード9クラスの巨大地震を待たなくても、マグニチュード7クラスの大地震による「地球自由振動」も観測できるようになってきました。しかし長い間、「地球自由振動」は、地球全体を揺するほどの大きな「地震」のときにだけ起こる現象だと考えられてきました。
ところが、1998年、名古屋大学を中心とするグループが、地震の発生に関わりなく、「地球自由振動」が常に起こっていることを発見しました。
地球は「時折」ではなく、「いつも」貧乏揺すりをしていたのです。それまでの常識は、一気にくつがえされました。
この発見に大きな役割を果たしたのが、当時名古屋大学の研究者だった、産業技術総合研究所(産総研)の名和 一成さんです。名和さんはこの現象を「常時地球自由振動」と名付けました。
「常時地球自由振動」は何か。どのようにして発見されたのか。そして、この発見が人類にとってどのような意味を持つのか。
詳しくご紹介していきましょう。
