
風呂上り。あなたは濡れた髪を乾かすために、棚からドライヤーを取り出しました。コードをほどき、プラグをコンセントに差し込みます。スイッチを入れれば、ドライヤーは勢いの良い音を上げて、温風を吹き出すはずです。
コンセントの向こうには、送電線があり、変電所があり、発電所がありますが、あなたはそんなことは気にもとめません。発電所は、火力発電所かもしれないし、原子力かもしれないし、水力かもしれませんが、あなたにとっては知ったことではありません。その地方の電力会社で不具合があったため、遠くの電力会社が替わって送電しているかもしれません。そんなことを考える間もなく、髪が乾いてしまいましたね。
電力網は日本中に張り巡らされています。私たちの誰もが、電力網をとおして電気を利用していますが、その存在を意識することはまずありません。
あまりにも手軽で、安定していて、空気のように「当たり前」の存在だからです。
インターネットの場合は、そうはいきません。情報やサービスを手に入れるためには、それなりの設定が必要ですし、その間、回線やサーバなどを意識しないではいられません。
インターネットが、電力網と同じくらい手軽に、存在を意識することなく利用できれば、私たちの生活は大きく変わるかもしれません。
そんなネットワーク環境を目指して提唱されたのが、電力網(エレクトリック・パワー・グリッド)にあやかって名づけられた、「グリッド」というコンセプトです。
この「グリッド」に関して、産業技術総合研究所(産総研)の「グリッド研究センター」は、日本だけでなく、世界においても、主導的な役割を果たしています。
それでは、「グリッド」がどのようにして電力網のような「当たり前」のネットワーク環境を実現するのか、詳しくご紹介していきましょう。
