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地球環境を守るために

スターリングエンジンってどんなエンジン?



模型スターリングエンジンの動画:1分10秒[2.2MB]
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てれす

ねぇ ありす これって何かな〜?

エンジン・・・みたいだけど・・・

ありす
てれす

でも、自動車やバイクと違ってとっても静かだし、排気ガスも出てないみたい。

う〜ん・・・ ガソリンとかで動くエンジンとは違うのかしら。

ありす
博士

このエンジンはね。『スターリングエンジン』と呼ばれているんですよ。

てれす

あっ 博士! この不思議なエンジンのこと知ってるんですか?

博士

もちろん! それでは、わかりやすく説明しようか。

エンジンは熱の力を動力に変えるためのエネルギーの変換装置なんだよ。

エンジンは大きく、二つに分類することができるんだ。

みんなが知っている自動車やオートバイのエンジン、飛行機に使われているジェットエンジンなどは内燃機関といって、エンジンの中で燃料と空気を混ぜた気体を爆発させることにより発生させた熱を動力に変えているんだ。もう一つは外燃機関といって蒸気機関車や発電所などで使われている蒸気タービンなどで、気体を熱して膨張する力を動力に変えるエンジンなんだ。気体を熱することが出来れば、どんな熱を利用しても良いんだよ。

スターリングエンジンは外燃機関の一つで、外からの熱によってシリンダ内の気体の圧力を変化させて、動力を得る仕組みのエンジンなんだよ。

構造図の画像
模型スターリングエンジンの構造図

動作原理の画像1
1.温められた気体の膨張する力により、ピストンが押し下げられる。
動作原理の画像2
2.温められた空気が低温部で冷やされる。
動作原理の画像3
3.フライホイールに蓄えられたエネルギーで冷やされた気体を圧縮する。
動作原理の画像4
4.高温部で温められた気体が再び膨張する。
模型スターリングエンジンの動作原理
動作原理の動画

おもしろい仕組みのエンジンね。いったい誰が発明したの?

ありす
博士

1816年にスコットランドの『ロバートスターリング』という人が26才のときに発明したんだよ。

このときはシリンダ内の気体に空気を使っていたので、熱空気エンジン「ホット エアー エンジン(hot air engine)」と呼ばれていたそうなんだ。

スターリングエンジンは、いろいろな種類の燃料を使うことができ、騒音や振動が少なく、低公害の環境に優しいエンジンであるという特徴があるんだよ。

ロバートスターリングとスターリングエンジンの画像
ロバートスターリングとスターリングエンジン

当時、イギリスは産業革命で工業が盛んでした。そのために鉱山の排水ポンプや工場の動力源としてワットが発明した蒸気機関とともにスターリングエンジンがたくさん使われ、更に大きな動力を得るために開発が進んでいたんだ。

そんな中で、1876年 ドイツの技術者であるオットーが、ガソリンエンジンの元祖ともいえるがガス機関を発明し、1894年にはドイツのディーゼルによってディーゼルエンジン等の大きな動力を得るのに適した内燃機関が発明されたことにより、スターリングエンジンはこれら内燃機関のエンジンに対抗できずに姿を消すことになってしまったんだ。

てれす

そのあと、スターリングエンジンの開発はされなかったの?

博士

いやいや、スターリングエンジンの研究はその後も続いていたんだよ。スターリングエンジンを高く評価していたオランダのフィリップス社が1930年から1980年まで研究開発を行っていて、シリンダ内の気体にヘリウムガスや水素ガスを使った小型発電機用エンジンや大型バス搭載用エンジン等が開発されていたんだ。この産総研でも工業技術院と呼ばれていた時代の1982年から1987年までムーンライト計画でスターリングエンジンの研究開発を行っていたんだよ。エンジンの設計法等の基礎的な研究を行ったり、エンジンの評価試験を行い、技術の向上に貢献したんだ。

てれす

でも、スターリングエンジンを見かけないのはなぜなの?

博士

それはね。ガソリンエンジンなどの内燃機関に比べて大きくて重いことが問題なんだ。小型で大きな動力を得られるスターリングエンジンを作ることは、難しいことなんだ。

それに、内燃機関よりも耐久性が劣ること、値段が高いことも実用化への問題なんだ。

環境に優しいエンジンなのに、使われないのはもったいない気がするわ。

ありす
博士

そうだね。しかし、最近では地球環境問題に対する意識の高まりとともにスターリングエンジンの環境に優しい、低公害性という特徴に再び注目が集まっているんだよ。

太陽熱発電用スターリングエンジン、木屑やもみがら等バイオマスを燃料とする小型発電システム用スターリングエンジン等、世界的に研究開発が進められているんだ。

みんなの生活を支えるためにスターリングエンジンが活躍する時代もそう遠い未来ではないかもしれないよ。

夢の宇宙太陽光発電

宇宙太陽光発電の画像

宇宙に浮かぶスターリングエンジンを載せた太陽発電衛星は、24時間太陽のエネルギーを得られ、そこで作られた電力をマイクロ波に変えて地上のレクテナに送り、電力を家庭などに供給できる夢のシステムです。


ここ産総研でも、実用化に向けて、研究を進めています。

2006年8月2日 発表 プレスリリース
寒冷地用最適コジェネ・システムの開発
 −スターリングエンジン採用で家庭用の発電・給湯バランスを自由自在に−

ここで二人に問題!
スターリングエンジンをモーターなどを使って、逆回転させるとどんなことが起きると思う?

う〜ん。

ありす
てれす

どうなるの? 博士、教えて!

博士

気体を冷やすことが出来るんだよ。

シリンダ内の気体を膨張させたり圧縮すると、膨張させたときに温度が下がり、圧縮させたときに温度が上がるんだよ。

このとき出た熱を冷ますと、気体を膨張させたときに前よりもシリンダ内の温度が下がるんだ。これを利用したスターリング冷凍機がもう実用化されているよ。

エンジンも冷凍機も、気体の温度が変化するときの性質を利用しているんだ。

スターリングエンジンは同じ構造で、動力を得ること、気体の温度を下げることの両方ができるんだよ。


 産総研では、財団法人日本科学技術振興財団が主催するサイエンスキャンプに毎年参加しています。

 「模型スターリングエンジンを作ってみよう」は、エネルギー研究部門とテクニカルセンターが1998年から2006までに8回連続で行っている人気のプログラムです。内容はスターリングエンジンの基礎から組み立て製作までの実習と通常のイベントでは体験できない研究者とのふれあい、質疑、議論と充実した内容となっています。

サイエンスキャンプの写真1
模型エンジンの部品
サイエンスキャンプの写真2
模型エンジンの組み立て
サイエンスキャンプの写真3
完成した模型エンジン

担当研究者から・・・

 今まで8回実施したサイエンスキャンプでは全国から参加した高校生が地球環境のことや将来のことを考えて参加していると感じました。また、体験学習を通し参加した高校生たちと接する中で将来の進む方向や希望などの助言を与えることも出来たと思います。サイエンスキャンプで学んだ経験を大学や社会に出てから発揮してもらえれば幸いです。

 サイエンスキャンプに関して、お世話になった多くの方々にこの場を借りて感謝致します。

関連リンク
サイエンスキャンプ2006 開催地:つくば
 「産業技術の先端に触れる 〜エネルギー、ナノテクノロジー、ライフサイエンス〜」

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