
たとえばコーラをグラスに注ぐと、たくさんの小さな泡が立ちのぼってきます。表面まで上がると、泡はプチプチとはじけて消えてしまいます。
そんな姿から、泡は、すぐに消えてしまう、はかないものの代名詞になっています。一昔も前のことですが、実体をともなわずにはじけて消えた好景気を、泡にたとえてバブル経済と呼んだこともありました。
ところが、ある種の泡には、はかないどころか人類の将来を左右するほどの可能性が秘められていることがわかってきました。その泡の名前は、マイクロバブル。その名のとおり、直径が50マイクロメートル(1ミリメートルの20分の1)以下の小さな泡です。表面に浮き上がる前に、水の中に溶けてなくなってしまう泡なのですが、これがきわめて面白い特性を持っているのです。
さらに、産業技術総合研究所(産総研)と民間のREO(レオ)研究所は、マイクロバブルから、さらに小さなナノバブルを生成することに成功しました。これもその名のとおり、直径が200ナノメートル(1ミリメートルの5000分の1)よりも小さい泡ですが、ナノバブルは、マイクロバブルよりもさらに不思議な特性を持っています。
ところで、環境汚染は、私たちにとって非常に重要な問題です。中でも水質汚染は深刻で、廃液を垂れ流しているわけではないのにもかかわらず、川や湖、海岸は死の世界に変わりつつあります。水辺からはさまざまな動植物が姿を消し、有害化学物質による汚染は、世代を超えた不安をもたらしています。
また、新種の病原菌や抗生物質が効かない病原菌が次々と出現し、私たちを脅かしています。養殖や畜産現場では、抗生物質をはじめとする薬剤が大量に使われています。薬剤は魚や鶏や豚や牛の肉に蓄積して、私たちの口に入ってしまいます。食の安全に関わる問題となっています。
マイクロバブルとナノバブルには、そんな問題を劇的に解してしまう力を秘めているのです。小さな泡の大きな可能性を、詳しくご紹介しましょう。
