
もし、家に水槽があったら、それを思い出してみてください。最近、水を替えたのはいつでしょうか? 先月? 去年?買ってから一度も水を替えていない、という人もいるかもしれません。
中の金魚や熱帯魚は毎日水槽の外から餌をもらい、排泄しています。水は毎日汚されているのです。それなのにさほど水を替える必要がないのは、たいていの水槽に浄化装置がついているためです。
浄化装置の中には、無数のバクテリアが住んでいます。このバクテリアが、汚れのもととなる水の中の「有機物」を分解してくれるのです。さらに、水中にある余分な「栄養塩」は、水槽の中の水草が吸収してくれます。
水槽は、海域や湖沼がコンパクト化されたものです。海域や湖沼で浄化装置の役割を果たしているのが、干潟に住んでいるバクテリアや底生動物、葦類などの動植物です。東京湾にも、干潟の減少などで衰えてはいますが、こういった自然の浄化機能があります。
水槽と東京湾が決定的に異なっているのは、東京湾を汚しているのが「有機物」や「栄養塩」だけではないことです。東京湾には、自然の浄化機能ではほとんど浄化できない、多量の人工化学物質が流入しています。これは、東京湾に住む生き物に深刻なダメージをあたえてしまう可能性があります。
このようなことを防ぐためにも、「化学物質リスク評価」が必要となります。その化学物質が生物にあたえる影響度合(リスク)を計算し、1日後、1ヵ月後、1年後など、将来のリスクをシミュレートするのです。
産業技術総合研究所(産総研)は、昨年、「東京湾簡易リスク評価モデル」を開発し、無償配布しました。これは、誰でも自分のパソコンで、化学物質が東京湾にもたらすリスクを予測できるというものです。それでは、詳しくご紹介していきましょう。
