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成形プロセスによるMEMSデバイスの製造

 − 量産性に優れ低製造コストの射出成形と印刷による新技術 −

国際公開番号 WO2012/002446(国際公開日:2012.1.5)

1.目的と効果

 微小電気機械システム(MEMS)デバイスは、加速度センサーや光ミラーデバイスなどが実用化されており、携帯電話、コンピュータやプロジェクターなどさまざまな製品に組み込まれています。このMEMSデバイスの作製では、一般的にLSIやICなどの集積回路を製造するのと同じ半導体製造設備を用いますが、微細な構造体を製造できる半面、設備投資額が膨大で、大規模大量生産でないと事業が成り立たない問題があります。

 今回の特許は、前述した問題を解決する、低設備投資額で、比較的小ロットのMEMSデバイスの低コスト製造を可能にする技術に関するものです。射出成形工程でMEMSデバイスを製造することができ、これまで製造価格や製造数量の問題などで、MEMSを適用することができなかった新しい分野への適用が可能になります。

[適用分野]
 ● MEMSデバイス
 ● 発電デバイス
 ● 光制御素子
 ● 圧電素子など各種センサー

2.技術の概要

 図1に、この特許のMEMS製造方法を示します。はじめに、スクリーン印刷やグラビア印刷などによって、フィルム表面にMEMS機能層を印刷し、印刷されたフィルムを金型内部に挿入します。次に、溶融した樹脂を金型内部に流し込み、樹脂を冷却固化させMEMS構造体を形成させます。最後に、フィルムと成形したMEMS構造体を剥離させ、MEMS機能層を成型したMEMS構造体に転写することでMEMSデバイスを作製しています。図2に印刷工程と射出成形工程だけで作製した3次元MEMSデバイスを示します。このMEMSデバイスには、歪みセンサーと光ミラーが印刷され、射出成形によってMEMSミラーデバイスを作製することに成功しました。また、この手法を用いて、動的に配光制御可能な照明用デバイスを試作しました。

3.発明者からのメッセージ

 この方法は、半導体製造装置を使わずに、印刷と射出成形だけでMEMS構造体を作製できる技術であるため、膨大な設備投資をする必要がないこと、そして工程数も少ないことから低コストで作製できます。そのため、これまで製造コストや最小生産数量などの問題で、量産に障壁があった製品群などの新しい分野へMEMSデバイスを提供できる技術として役立つと考えています。

図1
図1 射出成形によるMEMS製造方法
一般的な射出成形法を用いた樹脂成形により、簡単な工程でさまざまな機能をもつMEMSデバイスの大量生産を可能とし、製造コストを大幅に減少させることができる。
図2
 
図2 この特許技術で作製した光ミラーMEMSデバイスと動的配光制御の例
MEMS構造を金型に加工し、成形を行うことによりMEMSデバイスを製造できる。

集積マイクロシステム研究センター
PDF(1.0MB:産総研 TODAY Vol.12 No.09 p.19)

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