1.目的と効果
深刻化する電子回路部品(LSIなど)の偽造品対策として、レーザーや特殊インクによって二次元バーコードをLSIパッケージや内部のシリコンチップにマーキングする技術が実用化されています。LSIごとにバーコードを付与する流通管理はとても効果的ですが、デジタルデータであるバーコードはコピーすることができます。この発明は、LSIの動作時の消費電力波形や放射電磁波形を測定・記録し、そのアナログデータをコピーできない情報として真贋判定に用いるものです。同じ論理回路のLSIでも、製造工場や製造時期の違いによりアナログ特性が異なるため、リバースエンジニアリング(製品の分解、解析)によって偽造したものを識別することが可能になりました。また、低速なプロセッサの表記を高速版と偽装する手口も、その特性の違いから検出することができます。
[適用分野]
● 半導体分野
● 検査装置分野
● セキュリティ分野
2.技術の概要
図1に示すように、LSI製造時の検査過程で回路の動作波形を製造番号と共にデータベースに保存しておきます。真贋判定時には、LSIの製造番号をデータベースで検索し、動作波形を比較します。図2からわかるように、真贋を判定できます。また、同じ工場で同時期に作られたLSIのアナログ特性は、異なる工場で作られた偽物とは大きく異なるので、個々のLSIの動作波形ではなく、製造ロットごとに代表となる波形を登録することもできます。さらに真贋判定のための特徴のある電力・電磁波形を生成する専用回路をLSI中に実装することが、この手法の実施にとても有効となります。
3.発明者からのメッセージ
LSIのばらつきから固有IDを生成し、LSIの指紋のように利用する個体判別技術(PUF:Physically Unclonable Function)も偽造防止法として大きな期待が寄せられています。しかし、計算機でPUFによるID生成を模擬することが可能な場合があります。一方、指紋認証装置では、指紋パターンをコピーしたゴム指などを排除するために生体検知が行われています。この発明を生体検知のように利用し、PUFのセキュリティをより強固なものにすることができました。PUFの技術は、利用が急拡大しているICカードに対する偽造対策として有望視されています。
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図1 LSIの製造時に電力・電磁波形を測定してデータベースに保存し、真贋判定時にはLSIを動作させて測定した波形をデータベースと照合する
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図2 異なる製造プロセスによって作られたLSI製品の電力波形 波形①と②のように、製造プロセスが異なると、同じ論理回路であっても電力波形が一致しない。一方、波形②のように、同じ製造プロセスで異なる時期に製造したLSI製品の動作時の波形は完全に一致している。 |


