1.目的と効果
凍結障害は、作物に多大な被害をもたらし、わが国における損害額は、年間1,500億円を超えています(http://www.maff.go.jp/j/tokei/sokuhou/higai09_78910/index.html)。また、地球温暖化が、凍結や乾燥ストレスへの抵抗性を弱めていることも問題となっています。そこで、産総研独自に開発した遺伝子サイレンシング法(CRES-T)を用いて、凍結や乾燥ストレスに耐性を付与する因子(遺伝子)を発見しました。
[適用分野]
● 果樹、穀物の改良
● 環境保全植物の作出
● バイオ燃料原材料
2.技術の概要
産総研では、転写抑制因子を用いた画期的な遺伝子機能解析法であるCRES-T法を開発し、それを用いて農業や産業上有用な因子の探索を行っています。CRES-T法を用いて、岩手大学寒冷バイオフロンティア研究センターと共同で、凍結耐性を付与できる因子を発見しました。
図(左)に示したように、零下9 ℃で凍結させた場合、モデル植物である野性のシロイヌナズナの大半は死滅しますが、今回発見した遺伝子を導入した植物は、ほぼ100 %生き残ることができました。また、図(右)のように、この遺伝子を導入された植物は、乾燥に対しても強い耐性をもつことがわかりました。将来この因子を、穀物、果樹およびエネルギー植物に導入することによって、低温や乾燥ストレスに強い植物を作ることが可能です。
3.発明者からのメッセージ
CRES-T法は、多様な植物で効果が認められており、また、優性で作用することから、私たちは、低温や乾燥などのさまざまな環境ストレスに耐性をもつ植物をはじめ、バイオ燃料、バイオマスや物質の生産などに適した植物の作出を進めています。
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| 図 凍結耐性および乾燥耐性をもつ植物の作出 低温や乾燥ストレス耐性を付与する遺伝子をCRES−T法によって同定し、その遺伝子で形質転換したシロイヌナズナ植物。 |

