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高品位バイオディーゼル燃料の製造方法

 − 水素化触媒技術でバイオディーゼル燃料の酸化安定性が向上 −

国際公開番号 WO2011/105291(国際公開日:2011.9.1)

1.目的と効果

 バイオディーゼル燃料の品質劣化によるトラブルを回避するために、燃料の品質規格が定められています(JIS K2309など)。近年、さらなる品質の向上が求められ、より厳格な規格値を制定した東アジアサミット推奨規格や世界燃料憲章(WWFC)が提唱され、タイなどの一部の国では国家規格に採用されています。規格項目の中で、クリアするのが最も難しいのが酸化安定性です。バイオディーゼル燃料は、空気中の酸素によって酸化を受けやすく、経年変化により腐食性の酸や重合物を生成して、エンジンや燃料供給系統にトラブルをもたらすことが知られています。この発明は、選択的に水素化する技術および触媒技術により、酸化安定性に優れたバイオディーゼル燃料の生産に貢献します。

[適用分野]
 ● バイオディーゼル燃料
 ● ファインケミカルズ合成のための水素化精製技術

2.技術の概要

 これまでの酸化安定性向上法は、抗酸化剤を添加する方法が主流でしたが、抗酸化剤とバイオディーゼル油種の組み合わせによっては効果が異なるため、効果の持続性や重合物生成抑制などの問題が解決できないことがありました。この発明では、バイオディーゼル燃料中の酸化しやすいリノール酸やリノレン酸のような炭素−炭素二重結合を複数有する多不飽和脂肪酸のメチルエステルを、酸化安定性が比較的高く、低温流動性にも優れたオレイン酸メチルなど炭素−炭素二重結合を1個有するエステルへと選択的に水素化(図1)するための触媒を作成し、低温流動性悪化を抑制しつつ酸化安定性を高める技術を開発しました(図2)。

3.発明者からのメッセージ

 欧州や東南アジア諸国では、バイオディーゼル燃料混合軽油が強制規格化されて市場に流通しており、混合基材であるバイオディーゼル燃料の品質向上は喫緊の課題となっています。この発明で提供する触媒を用いるバイオディーゼル燃料の選択的水素化は、高圧ガスを必要としない反応条件で実施でき、既存のバイオディーゼル燃料製造設備の後付装置としての利用も可能です。

図1
図1 脂肪酸メチルエステルの選択的水素化反応
図2 図2 酸化試験後の未処理菜種油バイオディーゼル混合軽油(左:スラッジ発生)と水素化処理菜種油バイオディーゼル混合軽油(右)(バイオディーゼル混合量10重量%)
関連情報:
● 参考文献
特願2009-501311

新燃料自動車技術研究センター
PDF(830KB:産総研 TODAY Vol.12 No.07 p.16)

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