1.目的と効果
太陽光発電システムではコストや工事の手間の増加がなく、野外での劣悪な通信環境に威力を発揮するモニタリング手段が望まれています。そこで効率的なシステム運用に向けて、パネル単位での発電状況モニタリングの実用化を図りました。この発明は、太陽光発電パネルの発電情報を直流電力線で伝送することで、新たな通信ケーブルを敷設しなくても安価なモニタリングが可能です。ノイズに強いスペクトラム拡散方式をベースに、伝送速度の低下を防ぐため、フレーム同期信号を挿入することなくその構成を受信側で識別できる工夫がされています。
[適用分野]
● 太陽光発電
● 低速データ通信
● テレメータシステム
2.技術の概要
この太陽光発電パネルモニター装置では、信号に拡散符号を乗ずる符号分割多重アクセス方式(CDMA)を応用したノイズに強い通信方式を開発して、太陽光発電パネルの端子箱の中に小型の通信子機を実装しました(図1(a))。これにより、各太陽光発電パネルの電圧、電流、温度などの情報を直流電力線によって、一括してパワーコンディショナー側の通信親機に伝送できます(図1)。電圧、電流、温度などのデータをデータフレームにして伝送しますが、フレームが短いため、各フレームの始まりを示す符号を追加すると伝送効率が低下してしまいます。この発明は、データを伝送するたびに交互にCDMAの拡散符号を切り替えることで、符号を追加することなくフレームの始まりを識別可能にしました。このため、伝送効率の低下を招くことなく、野外でも使用できるノイズ耐性の強い安定した通信が可能になりました。
3.発明者からのメッセージ
通信子機は、市販の安価な電子部品で構成して低コスト化し、量産時で200円程度の見込みです。図2に示すように、実際に30枚の太陽光発電パネルに実装して発電状況のモニタリングを行いました。これまでの手法ではパネル単位での不具合を発見することが困難でしたが、この発明の太陽光発電パネルモニター装置は、パネル単位で発電の不具合を検知でき、太陽光発電システムの発電ロスの抑制に有効です。メガソーラーなどの大規模システムへの展開も検討しています。
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| 図1 太陽光発電パネルモニタリングシステムの全体構成 (a)通信子機は、太陽電池パネルの電圧・電流・温度などをモニタリングして送信する(回路基板の大きさは42 mm×15 mm)。(b)通信親機はモニタリングしたデータを一括して受信して蓄積・表示する。 |
図2 本装置によるモニタリング例 30枚のパネルの発電状況がほぼ同じであり、雲により太陽光が一時的に弱くなる様子がわかる。 |


