1.目的と効果
グラフェン膜は高い光透過率と導電性を持っているため、次世代の透明導電膜としての利用が期待されています。しかし、これまでの熱CVD法によるグラフェン膜の合成は、1,000 ℃に近い高温プロセスであり、かつプロセス時間が長いという課題が残っており、量産プロセスへの適用が困難でした。この技術は、マイクロ波表面波プラズマCVD法によるグラフェン膜の合成を実現しており、低温(300 ℃以下)、かつ短時間(30〜60秒)でグラフェン膜を製造することができます。工業的にとても有利なグラフェン膜の合成手法です。
[適用分野]
● タッチパネル、液晶パネル、太陽電池、有機ELなどの透明電極
● フレキシブル導電膜
2.技術の概要
図に示すように、開発したプラズマCVDによるグラフェン透明導電膜の合成法では、含炭素ガスと不活性ガスからなる混合ガスに、基材表面の酸化を抑制するための酸化抑制剤を添加ガスとして加えたガス雰囲気中の放電容器にマイクロ波パワーを導入し、表面波プラズマを生成させます。このプラズマを用いることにより銅箔(または、アルミ箔)の基材表面上にグラフェン膜を低温かつ高速で形成することが可能となりました。
3.発明者からのメッセージ
開発したグラフェン膜合成用表面波プラズマCVD法では、プラズマ生成のためのマイクロ波アンテナ部はマルチアンテナ式となっています。このため、アンテナの数を増やすことでグラフェン形成領域の大面積化が可能です。現在、この技術を活用して大面積グラフェン膜の連続生産装置を開発しております。
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| マイクロ波表面波プラズマCVD法によるグラフェン膜の合成(左)。合成されたグラフェン膜は転写などのプロセスを経てタッチパネルなどの透明導電膜として応用される(右)。 |
関連情報:
● 参考文献
J. Kim et al.: Plasma Sources Sci. Technol,19, 015003 (2010).
J. Kim et al.: Appl. Phys. Lett., 98, 091502 (2011).
J. Kim et al.: Appl. Phys. Lett., 98, 091502 (2011).

