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低コストの光ファイバー構造物診断システム

 − 振動測定から超音波検査まで1本の長尺センサーで実現 −

国際公開番号 WO2011/115204(国際公開日2011.9.22)

1.目的と効果

 光ファイバーセンサーは小型・軽量で電磁波障害を受けないことなどの利点から構造物の健全性評価用センサーとしての利用が期待されています。温度やひずみなどの物理的変化を波長変調するファイバー・ブラッグ・グレーティング(FBG)は、超音波探傷検査の超音波センサーと揺れ検知のための振動センサーの両方の機能をもつセンサーとして利用することができます。この発明は、これまでの技術と比較して10分の1程度の価格で構築できる簡便なFBGセンサーシステム(図1)を用いて、サブヘルツから超音波域にわたる広帯域の振動計測を実現する技術です。

[適用分野]
 ● スマート構造体健全性評価システム
 ● 電磁波障害・引火性雰囲気での振動検知システム
 ● 振動検知による防犯・防災システム

図1
図1 計測原理と想定される展開例
この技術ではFBGが受ける振動を光電変換器出力の強度変化として検出する。

2.技術の概要

 FBGは1 %のひずみを受けると反射波長が約12ナノメートル変化します。超音波検出には高速かつサブピコメートル程度の微小な波長変化を検出する技術が必要とされます。これまでの技術ではひずみがもたらす反射波長の変動に応じて信号復調部をチューニングする必要がありました。今回発明した技術ではFBGを共振器ミラーとしたファイバー・レーザーによりセンサー信号をレーザー光信号にします。そしてファイバー・レーザーに組み込まれた光アンプがもつ光利得の波長依存性を利用することで、ひずみ変動下でも図2(a)のようにチューニングフリーでひずみに依存することなく超音波を検出することができます。またセンサー信号に適切な周波数フィルター処理を施すことで図2(b)のようにこれまでのひずみゲージと同様の振動測定にも適用できます。

3.発明者からのメッセージ

 FBGは1本の光ファイバー上に複数のセンサーポイントを設けることが可能なことから構造物に神経網機能をもたせたスマート構造体のセンサーとしての利用が期待されています。また、電気式センサーが利用できなかった引火性・腐食雰囲気での利用が可能です。この発明は材料の微視破壊時に発生するアコースティック・エミッションの検出もできることから、構造物の経時劣化モニタリングや機械などの異常振動検知にも適用できます。

図2(a) 図2(b)
図2 (a)異なるひずみを受けたFBGセンサーが検出した超音波応答
この技術を用いてFBGが受けるひずみに依存することなく超音波を検出することができる。
図2(b)ひずみゲージおよびFBGセンサーによる片持ち梁の自由振動測定結果
FBGセンサーが計測した振動周波数はひずみゲージの結果と一致する。

計測フロンティア研究部門
PDF(1.1MB:産総研 TODAY Vol.12 No.04 p.21)

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