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耐環境性能を向上させた調光ミラーデバイス

 − 光学特性が可変のため次世代窓ガラスとして有望 −

国際公開番号 WO2011/083734(国際公開日:2011.7.14)

1.目的と効果

 さまざまな建築物や自動車などの窓ガラスは日光の取り入れの機能をもちますが、特に夏季においては必要以上の日光(熱)も取り込み、屋内や車内の快適性を保つための冷房使用による大きなエネルギー消費につながります。調光ミラーデバイスは、ガラスを通って入ってくる日光の量をコントロールできるために、省エネルギーならびに低環境負荷の観点で次世代窓ガラスとして期待されていますが、環境(特に湿度)に対する性能安定性が不十分でした。この発明により、四季や天候など使用環境を想定し、環境性能に優れた調光ミラーデバイスを提供することができます。

[適用分野]
 ● 建築部材
 ● 光学部品・光ネットワーク素子
 ● デコレーション部材

2.技術の概要

 調光ミラーデバイスの基本構造は、図(a)に示すように、ガラスなどの透明基材上に形成された、透明電極、イオン貯蔵層、固体電解質層、バッファ層、触媒層、マグネシウム系合金薄膜を用いた調光ミラー層からなります。調光ミラー層は金属(鏡)であるために光をよく反射します。図(a)の電極間に電圧を印加しますと、水素イオン(H+)が調光ミラー層に導入され、化学反応を生じ非金属(水素化合物)となることで、図(b)のように透明状態に変化します。さらに、表面を耐環境性能に優れた保護層で封止することで、周辺環境(湿度)の影響による性能安定性を向上させることもできました。室温で作製できるため、柔軟なプラスチックを基材として用いたフレキシブルデバイスも可能です。

3.発明者からのメッセージ

 調光ミラーデバイスは電気的に透過率と反射率を制御できるため、住宅やビルなどの窓ガラスや自動車、電車、航空機などの窓ガラスとしての応用が期待できます。特に調光ミラー層の金属(鏡)状態においては日光の透過率を数%以下に抑えることができるために、室内をクールに保つことができます。電気的に光学特性を可変できる原理により、光学素子や電子回路デバイス、玩具などへのデコレーション部材などさまざまな用途が想定できます。

図
調光ミラーデバイスの代表的な構造、切り替え原理、および外観変化
図(a)の電極間に数ボルトの電圧を印加すると、水素イオン(H+)の移動に伴う化学変化により、図(b)のように鏡状態から透明状態へ変化する。電圧の極性(±)により可逆的に変化可能である。
関連情報:
● 参考文献
K.Tajima et al.:Appl. Phys. Express, 3(4), 042201-1-3 (2010).

サステナブルマテリアル研究部門
PDF(981KB:産総研 TODAY Vol.12 No.02 p.19)

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