1.目的と効果
光を吸収して空気浄化作用やセルフクリーニング作用、抗菌作用などを示す光触媒が実用化されています。代表的な光触媒として酸化チタン(TiO2)が使用されていますが、紫外光を必要とするため屋内では十分な効果が得られないことがあります。そこで、室内光に多く含まれる可視光も利用できる光触媒の開発が望まれています。この発明では可視光の一部を利用できるグラファイト状窒化炭素(g-C3N4)の比表面積を増大させる手法を開発し、新しい空気浄化用の光触媒を誕生させました。アセトアルデヒドなどのシックハウス原因物質や窒素酸化物(NOx)を除去することができ、室内空気の質の向上に役立ちます。[適用分野]
● 空気浄化システム分野
● 光触媒開発分野
● 建材製造分野
2.技術の概要
グラファイト状窒化炭素はメラミンなどの含窒素有機化合物を加熱することで簡単に得られますが、そのままでは比表面積が小さく(8 m2/g未満)、空気と光触媒の接触が重要な空気浄化ではほとんど作用が確認できませんでした。グラファイト状窒化炭素は層状化合物ですので、一層一層をばらばらにすることができれば比表面積は飛躍的に増大するはずです。強アルカリまたは強酸水溶液中で加熱することにより塊だった窒化炭素が剝離・微細化され、比表面積が10倍近く増大することを見いだしました(図1)。空気浄化速度も10倍に増大し、ほかの可視光応答形光触媒に匹敵する性能が得られました(図2)。3.発明者からのメッセージ
グラファイト状窒化炭素の光触媒作用が初めて報告されたのはわずか3年前です。その翌年に基本的な特許を出願できたことはとても幸運だと思います。この物質は炭素と窒素(およびわずかな水素)から構成されます。資源制約の心配がないため、資源に乏しい日本向きの次世代の材料です。空気浄化以外の用途や金属を添加した窒化炭素についても研究開発を進めています。![]() |
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| 図1 この発明の剝離・微細化処理により、グラファイト状窒化炭素(g-C3N4)の比表面積が増大し、空気中の汚染物質を吸着して分解する速度が10倍程度に増大した。 | |
| 図2 サンプルを設置した反応容器にアセトアルデヒドを含む空気を流通させ、時間ゼロで可視光を当てると、アセトアルデヒド濃度が低下するとともにCO2の濃度が増大し、光のエネルギーを用いて空気が浄化されたことが確認できた。 |


