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CMP処理後のマイクロクラック検査装置

− 内部に隠れたクラックを応力の作用で検出する光検査機を開発 −

国際公開番号 WO2011/062279 PCT出願中(国際公開日:2011.5.26)
関連特許(登録済み:国内1件、国際公開:1件)

1.目的と効果

 化学機械研磨(CMP;Chemical mechanical polishing)は、極超大規模集積素子(ULSI)製造において最も重要な技術の一つですが、ウエハーと砥粒(スラリー)の機械的な相互作用のため、ウエハー内部(表層)にマイクロクラックなどの微小欠陥が形成されることがあります。このような欠陥はウエハー内部に閉じたクラックとして存在するため、これまでの装置では非破壊での検出は難しく、デバイスの電気的短絡や回路断線など、深刻な不良発生の要因として危惧(きぐ)されています。この特許では、ウエハーに応力を加えてこれらのクラックを顕在化させることによって、光学的に検出できる高スループットの実用的な検査装置の開発を目指しています。

[適用分野]
 ● 半導体分野
 ● 電子材料分野
 ● 検査装置分野

2.技術の概要

 図1に示すようにウエハーは両端をクランプした状態でステージに設置し、ウエハー中心部を裏面から圧電アクチュエーターなどで上方へ押し上げ(〜100 µm)、ウエハー表層に数MPaの引っ張り応力を加えます。このウエハーにレーザー光を照射(入射角〜80°)して全面をスキャンし、ウエハー各点からの散乱光の偏光成分を計測します。応力印加によってクラック先端周辺部には応力集中が生じ、光弾性効果によって屈折率(n)がわずかに変化します(Δn/n〜10−5 /MPa)。この変化を散乱光の偏光成分の変化としてとらえ、クラックを検出します。ここでは、応力印加前後での差分をとることによって、ウエハー表面付着異物および金属配線パターンからの信号(両者は応力の影響を無視できる)と分離して、クラックの信号だけを取り出すことに成功しました(図2)。

3.発明者からのメッセージ

 この特許は、ルネサスセミコンダクタ九州・山口株式会社とのマイスター型連携研究の成果の一部です。現在、同社の協力を得て、この特許技術を組み込み、次世代半導体や各種ガラス基板などのCMP処理に伴うクラック検査にも適用できる検査装置の実用化を急ピッチで進めています。

 さらに、この特許技術は、これまでの技術でのエッチングの困難な絶縁膜のクラック評価や、CMP材料およびCMP技術などの研究開発にも有用です。

図1 図2
図2 200 mmパターン付きウエハー製品のマイクロクラック検出例
(a)産総研試作機で評価したエッチング前のクラック分布図
(b)、(c)ウエハー表面をエッチングして顕在化させたクラックのSEM写真
図1 応力印加・光散乱法を用いたクラック検出試作機の概要  

生産計測技術研究センター
PDF(1.0MB:産総研 TODAY Vol.12 No.01 p.20)

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