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静電レンズ型高性能電子エネルギー分析器

 − 光電子スペクトルを利用した新しい表面温度計の開発 −

国際公開番号 WO2011/024677 (国際公開日:2011.3.3)
PCT出願中
共同出願:公立大学法人 横浜市立大学

1.目的と効果

 物質の表面温度は、表面分析・材料評価・表面反応制御などの重要なパラメーターです。本特許では表面分析装置などの超高真空環境下において、単原子層オーダーの表面温度を非侵襲でモニターする新たな技術として、対象の光電子スペクトルを測定し、電子のフェルミエネルギー分布を決定する方法(光電子温度計)を提案しています。電極間に静電レンズ効果を導入した新しい電子エネルギー分析器を開発することにより、1 ℃より精度の高い温度測定に必要とされる1 meV(1.6×10−22 J)という極めて高いエネルギー分解能を実現しています。

[適用分野]
 ● 温度計測分野
 ● 表面分析分野
 ● 電子計測分野

2.技術の概要

 金属などの電子エネルギー状態は、その温度に依存するフェルミ分布関数として記述されます。したがって、対象の電子エネルギー状態を計測することで、その温度を決定することができます。電子エネルギー状態の測定には、紫外光電子分光法が用いられますが、温度計測には、極めて高いエネルギー分解能をもつ電子エネルギー分析器の開発が必要となります。そこで、図1に示すような3層以上の電極群から構成される半球阻止型分析器を新たに提案しました。半球電極群には電極群の中心(試料表面)に向う同軸上に開口が配置されています。紫外線で励起、放出された電子はこれらの開口を通過します。この時、電極間の電位差を用いて、開口間に静電レンズを導入することにより、図2に示すように通過電子の軌道を制御し、すべての電子を阻止電極開口部の等しい障壁ポテンシャルに収束させ、かつ、垂直に通過させることが可能となり、極めて高いエネルギー分解能が実現されます。

3.発明者からのメッセージ

 電子のフェルミエネルギー分布から表面温度を決定する原理については古くから知られていましたが、高精度な温度測定に必要となる高分解能でのエネルギー測定技術は未開発でした。この発明の技術により、表面温度の絶対測定や、高真空中の非接触温度測定のための光電子温度計の開発が可能となります。さらに、静電レンズ効果を導入した電子エネルギー分析器の開発により、高分解能をもつエネルギー分析器の小型化・低価格化も可能となり、光電子分光装置をはじめとした高性能な表面分析機器の開発にも貢献するものと期待されます。

図1 図2
図2 静電レンズと電子軌道
図1 光電子温度計の構成  

計測標準研究部門
PDF(967KB:産総研 TODAY Vol.11 No.09 p.13)

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