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反射防止フィルムの高性能化を実現

 − 球状コアシェル型ナノ粒子を用いた高屈折率膜 −

特許 第4682368号(出願2010.2)
国際公開番号 WO2011/018939

1.目的と効果

 ディスプレーの画面に外の光が当たって強く反射すると、本来の映像などが鮮明に見えなくなります。そのため、ディスプレー表面には反射防止フィルムが使われています。反射防止フィルムの高性能化の方法の一つは、それを構成する高屈折率層の屈折率を上げることです。最近、球状コアシェル型酸化セリウム高分子ハイブリッドナノ粒子が発明され[1]、このナノ粒子を光硬化性樹脂に高濃度で分散する技術を開発しました。この技術は図1に示すように、映り込みの少ない反射防止フィルムを初め、各種光機能関連材料に適用できると考えられます。

[適用分野]
 ● 反射防止フィルム
 ● 反射防止光学部品(レンズ)
 ● フォトニッククリスタル

図1
図1 反射防止フィルムの概略図
高屈折率層は右図(電子顕微鏡写真)のように、高屈折率の球状粒子(径80 nm程度)を均一に分散させて形成されている。

2.技術の概要

 ここで使われている球状コアシェル型酸化セリウム高分子ハイブリッドナノ粒子(図2)は、新しい粒子製造技術[1]で作られたもので、①均一な粒径、②コアが酸化物、シェルが高分子のコアシェル構造をもつさまざまな大きさのナノ粒子が実現可能、③乾燥させても水系および非水溶媒系への再分散がとても簡単である、などの特徴をもっています。ここで紹介する発明により、光硬化性樹脂中にナノ粒子が体積割合32 %以上と高濃度で均一に分散され、約1.73(波長550 nm)と高屈折率であり、機械的強度に優れている酸化セリウムナノ粒子含有ポリマー膜を得ることができます。これは、ナノ粒子を分散する溶剤の最適化により達成することができました。

3.発明者からのメッセージ

 この発明は、球状コアシェル型酸化セリウム高分子ハイブリッドナノ粒子の応用展開の一例であり、ほかにもいろいろな応用が考えられます。例えば、研磨材、触媒、ガスセンサー、固体電解質材料などが挙げられます。一般にナノ粒子は粒径が小さいために凝集しやすいと言われていますが、このナノ粒子はシェルをもつためいろいろな媒体に分散しやすく、部材やデバイスを作製するためのプロセスを簡便化できます。

図2

図2 コアシェル型酸化セリウム高分子ハイブリッドナノ粒子(電子顕微鏡写真)
厚さ10 nm程度の高分子の中に、高屈折率の酸化セリウムが内包されていることがわかる。

 関連情報:
 ● 参考文献 [1]特開2008−115370


先進製造プロセス研究部門
PDF(1.1MB:産総研 TODAY Vol.11 No.08 p.17)

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