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表面増強ラマン散乱用チップ

 − 銀ナノ粒子を用いたラマン散乱信号増強用チップ −

特許 第4317989号(出願2005.1)
関連特許(登録済み:国内1件)

図1
図1 レーザー光照射によって酸化銀から形成した銀ナノ粒子の電子顕微鏡写真

1.目的と効果

 この発明の目的は、液体試料検体中に含まれる微量分子、たとえばイソプロピルアルコール中の安息香酸分子を検出するために有効な表面増強ラマン散乱分析に用いる装置およびチップの提供です。この発明では、貴金属酸化物を還元して貴金属ナノ粒子を形成し、そのナノ粒子の表面に発生するプラズモンによるラマン散乱光増強を利用した表面増強ラマン散乱効果を分子検出に用います。この時、貴金属酸化物の薄膜の上に誘電体材料または半導体材料の薄膜を形成することによって、ラマン散乱増強効果を向上でき、さらには、検体と貴金属酸化物との化学反応を抑制するという効果が得られます。

[適用分野]
 ● 微量分子検出
 ● 環境センサー
 ● バイオセンサー

2.技術の概要

 私たちのグループでは、貴金属酸化物、特に酸化銀を、レーザー光照射による熱によってナノ粒子化(図1)し、この銀ナノ粒子による表面増強ラマン散乱効果を用いた分子センサーの開発を行っています(特許4128753号)。しかし、酸化銀は反応性が高く、検体と化学的に反応してしまうことがありました。そこで私たちは、酸化銀薄膜と誘電体材料または半導体材料の薄膜とを積層することによって、この反応を抑えることに成功しました。また、この誘電体または半導体の層によって、レーザー光照射による加熱時の熱の拡散が抑制され、より効率良くナノ粒子形成ができるようになりました。

3.発明者からのメッセージ

 この発明に用いられている技術の特徴は、図2に示すように、酸化銀をレーザー光でナノ粒子に還元しながら、同時にそのレーザーを用いてラマン散乱を誘起している点です。そのため、ナノ粒子が形成されているスポットに、ビーム光の焦点を合わせるための光軸調整をする必要が無く、とても簡単に表面増強ラマン散乱の信号が得られます。また、ラマン散乱測定には市販の顕微ラマン分光装置を転用することができます。

図2
図2 この発明の分子センシング装置の配置の例を示す概念図

電子光技術研究部門
PDF(1.0MB:産総研 TODAY Vol.11 No.06 p.23)

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