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相変化蓄熱材(潜熱蓄熱材)の機能性改善

 − 蓄熱容器の濡れ性の調節で過冷却をコントロール −

特許 第4296273号(出願2004.3)
関連特許(登録済み:国内5件、出願中:国内3件)

1.目的と効果

 氷枕は中の氷が融けるとき、周囲から熱を吸収します。ろうそくのろうが固まるときには、周囲に熱を放出します。相変化蓄熱(潜熱蓄熱)は、物質の状態が固体や液体などに変わる際に、吸収あるいは放出される融解熱や凝固熱などを利用して、小さなスペースで大きな量の熱を貯蔵する方法です。

 相変化蓄熱材(潜熱蓄熱材)の技術的な課題の一つに、融けた物質が融点以下の温度になっても凝固せずに、液体のままでほぼ安定的に存在できる過冷却という現象があります。この発明は、蓄熱材に対する充塡容器の濡れ性を調節することで過冷却を起きにくくしたり、逆に安定的に起きやすくしたりして、相変化蓄熱材の機能性を向上させる方法を提供します。

[適用分野]
 ● コージェネレーション(熱併給発電)システム
 ● 給湯、冷暖房システム
 ● 保温機器

2.技術の概要

 物質の過冷却の大きさ(過冷却度)は、容器の濡れ性に依存することがわかっています。したがって、相変化蓄熱材の融液に対する蓄熱容器内面の濡れ性を適切に調節すれば、蓄熱材の過冷却度を制御することができます。そこで、図1のように容器の一部分の濡れ角が小さくなるように設定すると、その部分の過冷却度が小さくなり、結晶が生成しやすくなるので、融点を下回れば速やかに貯蔵した潜熱を回収することができます。反対に、濡れ角を大きく設定すれば過冷却度が大きくなり、融点よりも低温の過冷却状態で蓄熱材を安定的に貯蔵することができます。さらに、濡れ角を容器の鉛直下向きに沿って徐々に大きくなるように設定して、鉛直方向の結晶核の生成のしやすさを均一にし、過冷却状態をより安定的に維持することもできます。

3.発明者からのメッセージ

 相変化蓄熱材の過冷却度を能動的に制御することで、蓄熱材を過冷却状態のまま融点よりも低温、すなわち低熱損失で保存し、必要時に凝固させて融点近傍の高温の熱を得ることができます。たとえば図2は、スレイトールを相変化蓄熱材としてコージェネレーションシステムの蓄熱装置として利用したときの熱の入出力とその温度変化を示しています。蓄熱後の顕熱(温度変化による熱)を夜の暖房に利用し、蓄熱材を翌朝まで過冷却状態で保存し、翌朝に強制的に結晶化させて、潜熱を早朝の暖房熱源として利用できることを示しています[1]

図1 図2
図1 発明の実施例
  図2 過冷却利用蓄熱システムを温水暖房に適用したときの蓄熱装置の熱出力と温水温度

 関連情報:
 ● 参考文献 [1]平野 聡: 産総研TODAY, 8(8), 4−5 (2008).


エネルギー技術研究部門
PDF(1.2MB:産総研 TODAY Vol.11 No.05 p.15)

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