1.目的と効果
多くの有機合成で用いられる有機溶媒に対して、環境にやさしい代替溶媒としての高圧二酸化炭素の利用が期待されています。この発明では、高温高圧二酸化炭素の温度と圧力の制御を行うことで、多段階の反応を1段階(One-pot)で行える技術を提供します。さらにオニウム塩系(アンモニウム塩、ホスホニウム塩など)のイオン液体を同時に用いることで、高温高圧二酸化炭素中では溶解度などの点で扱い難い極性の高い化合物についても、さまざまな反応に適用できます。![]() |
図1 温度と圧力を制御することで、多段階の反応を1段階(One-pot)で反応させることができる。各反応に最適な条件へと調整することで、効率的に合成することができる。 |
[適用分野]
● 有機合成分野(医農薬中間体合成など)
● 環境調和技術(環境にやさしい代替溶媒)
2.技術の概要
多くの有機合成では、反応ごとに最適な溶媒を選択しなくてはなりません。一方、高温高圧二酸化炭素(超臨界流体の場合も含む)を用いるこの発明の方法では、図1に示すように、反応時に温度と圧力を変化させることで媒体の物性を連続的に変化させ、多段階の有機反応を1段階で行えるようにしました。典型的な例として、式1に示したようにビニルケトンとケトンを反応させる場合、温度と圧力を変化させることで3段階の反応を連続して起こし、最終的に目的の環状ビニルケトンが短時間で収率よく得られます。また、オニウム塩系のイオン液体と組み合わせることで、幅広い化合物の反応に適応できるようになりました。例えば、式2に示すとおりアミン化合物と二酸化炭素から、ウレタン化合物の合成を実現できました。3.発明者からのメッセージ
高温高圧二酸化炭素を積極的に用いるこの発明の合成法は、例として挙げた以外にも多くの反応に適用できます。高圧条件での反応ですが、反応時間の短縮、収率・選択率の向上などの大きなメリットがあります。二酸化炭素であるため、超臨界水などと比べれば比較的温和な条件で行うことができます。特に、二酸化炭素は常温常圧にすることで気体になりますので、反応後の分離もとても簡単です。※この技術は、4月18〜20日に行われるCPhI Japan 2011(第10回国際医薬品原料・中間体展(東京ビックサイト;http://www.cphijapan.jp/))に出展する予定です。
| 式1 多段階で行われる有機反応 多くの場合、各反応ごとに分離精製が必要だが、この方法では温度・圧力を変化させることでOne-pot(1段階)で反応させることができる。 |
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| 式2 イオン液体を二酸化炭素と組み合わせることで、極性の高い化合物なども効率的に反応できるようになる。 | ![]() |



