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生物に学ぶ環境に柔軟に対応するロボットの歩行

 − 神経振動子モデルを利用した安定移動動作の実現 −

特許 第4280999号(出願2004.7)

1.目的と効果

 近年、ロボットの機能が複雑、多様化し、多くの自由度をもつロボットが増えてきています。しかしこのようなロボットは、基本的には想定しない環境への柔軟な対応が苦手です。そこで、私たちは生物におけるさまざまな運動リズムを司る神経振動子に着目しました。神経振動子群は、その相互関係によって個々の動作リズムを調整し、統合されたリズムへと収束させていきます。これを分散型ロボットシステムに応用して、歩行路面が滑りやすくても、摩擦があっても、また上り坂や下り坂であっても、安定した歩行ができるようになり、生物に類似したしなやかな動きをするロボットを実現できました。

[適用分野]
 ● ロボットシステム
 ● 無線通信ネットワーク
 ● マルチメディア(リズム生成、同期など)

2.技術の概要

 モジュール型ロボットM−TRANの各関節の制御に、神経振動子と呼ばれる周期波形発生器を模擬した非線形振動子モデルを利用します。この振動子は、ほかの振動子と相互作用して、同調や一定の遅れを保った周期波形を出力します。図1のロボットは、9個のモジュール(18個の関節(うち2個は固定))から構成されています。モジュール間通信により振動子群が相互にタイミング調整を行うことで、自律的に歩行運動が生成され持続されます。振動子間の結合係数の変更でさまざまな運動パターンも生成できます。図2は、路面の状態に応じて腰関節の振幅(歩幅)が自律的に変化して適応している様子です。また、歩幅が変化しても左右の関節の運動リズムが維持されているため、安定した歩行になっています。

3.発明者からのメッセージ

 この技術のキーとなる非線形振動子間の引き込み現象は、生物や自然界に多数見られる現象で、振動子間の相互作用によりミクロの世界から宇宙に到るまで、さまざまな周期パターンを形成しています。このような現象を応用することで、生物のもつ変化に対する柔軟性をロボットに与えることができます。また、複数の無線デバイスがお互いに邪魔をすることなく協調することで、効率良い相互通信を実現するための通信制御技術にも応用できます。

図1 図2
図2 M−TRANによる路面形状への自律適応の様子
動画:M−TRANホームページ
http://unit.aist.go.jp/is/frrg/dsysd/mtran3/J_index.htm
図1 モジュール型ロボット(M−TRAN)による4足構造(上)と神経振動子の配置および結合の様子(下)  

知能システム研究部門
PDF(889KB:産総研 TODAY Vol.11 No.02 p.21)

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