1.目的と効果
イオン液体は溶媒分子を全く含まず、陽イオン(カチオン)と陰イオン(アニオン)だけからなる液体です。水や有機溶媒に次ぐ第3の液体とも言われ、難揮発性、難燃性の電解液として、またセルロースなどを溶解することができる新しい反応媒体として注目されています。カチオンとアニオンの組み合わせは原理的には無限ですが、室温以下で液体となるものや粘性が低いものなどは限られており、新しいイオン液体構成イオン種の開発が期待されています。この発明は、電気化学的な安定性に優れた脂肪族四級アンモニウムカチオンとホウ素系アニオンとを組み合わせることにより、低融点かつ低粘性のイオン液体を提供します。
[適用分野]
● リチウム二次電池電解液
● 酵素反応媒体
● ガス貯留媒体
2.技術の概要
四フッ化ホウ酸アニオンはイオン液体を構成する代表的なアニオンの一つですが、脂肪族四級アンモニウムカチオンとの組み合わせではほとんどが100 ℃以上の融点を示しイオン液体にならず、エーテル酸素を含む脂肪族四級アンモニウムカチオンでは室温で液体であるものの粘度がとても高く、さらに水に溶けて分解しやすいという問題がありました(図左)。アニオンにパーフルオロアルキル鎖を導入すると、脂肪族四級アンモニウムカチオンでもイオン液体となるばかりか、粘度もこれまでのイオン液体のほぼ1/10に低減し、さらに水に溶けにくいため、比較的純度の高いイオン液体(図右)を簡単に得られるという利点も兼ね備えています。
3.発明者からのメッセージ
イオン液体はカチオンとアニオンの組み合わせからなり、実際に組み合わせてみないと液体になるかどうかわかりません。特に電解液への応用が期待される脂肪族四級アンモニウムカチオンは粘度や融点が高く、これらを有効に低減できるアニオン種が求められています。新しいアニオン種の開発はイオン液体全体のバリエーションの増加を促し、リチウム電池および電気二重層キャパシタ用の良質なイオン液体の開発に結びつくものと考えています。![]() |
| これまでのイオン液体(左)と新規イオン液体(右)融点(Tm)と室温25 ℃での粘度 (η25) |

