1.目的と効果
高温環境下で使用される耐熱性の電極材料として、高温安定性や抵抗温度係数が優れた高融点金属が広く使用されています。しかし、薄膜電極として使用する場合、このような高融点金属は、酸化物の基板上では1,000 ºCを超える高温下で酸化または窒化されやすく、剥離やクラックが発生しやすいため、薄膜電極を作製することは困難でした。この発明は1,450 ºCという高温下でも、酸化物の基板上で酸化または窒化されず、剥離やクラックが発生しにくい、薄膜電極を提供できます。[適用分野]
● 高融点物質の熱伝導率測定用電極
● 高温用電子デバイスの電極
● 高温用MEMS電極
2.技術の概要
図1のように、耐酸化性に優れた白金族金属(Ru, Rh, Pd, Ir, Ptなど)薄膜を酸化物基板上に作製し、その上に高融点金属(Y, Ti, W, Zr, Nb, Mo, Ta, Cr, Niなど)薄膜を作製します。加熱後は白金族金属と高融点金属がお互いに拡散し合い、合金を形成することによって、耐酸化性および耐熱性に優れた導電性薄膜を形成します。具体的には、スパッタリング法を用いて、酸化ジルコニウム(ZrO2)基板上にルテニウム(Ru)薄膜を作製し、Ru薄膜上にタングステン(W)薄膜を作製します。図2に示すように、アルゴン雰囲気中、1,450 ℃で1時間の加熱後は、W/Ru電極はRuW合金に変化し、導電性を保ちながら、剥離しない薄膜状態を維持しています。
3.発明者からのメッセージ
この発明は、単層の金属薄膜では困難であった高温環境下でも、白金族金属と高融点金属を積層し、加熱によって合金化し、今までにない耐酸化性、耐熱性をもった薄膜電極を提供します。また、使用する金属が半導体プロセスに適用できる金属であるため、既に用いられている量産機への適用も期待できます。
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| 図1 加熱処理によるW/Ru積層電極薄膜の合金への変化 |
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| 図2 (a)加熱処理後のAlN薄膜の圧電性の評価方法 (b)加熱処理後のAlN薄膜の荷重変化に対する圧電応答 |


