1.目的と効果
インターネットの普及などにより、情報の伝送容量拡大ニーズは、近年急速に増加しています。そのため、ネットワークを全て光化することへの期待が高まっています。この全光化に不可欠なのが、光ファイバーを通ってきた光信号の行き先を、電気信号に変換しないで切り替えられる「光スイッチ素子」です。しかし、これまでの光スイッチ素子には、可動部がある、信号減衰量が大きいなどの問題点がありました。そこで、電気信号により調光ミラーを鏡状態と透過状態との間で可逆的に変化させることで、光の進行方向を変える方式の光スイッチ素子を開発しました。[適用分野]
● 光通信
● 光学部材
● 装飾部材
2.技術の概要
全固体型調光ミラーを用いた光スイッチ素子は、透明導電膜をコーティングした基板上に、イオンストレージ層、固体電解質層、プロトン注入層、およびマグネシウム・ニッケル合金薄膜を用いた調光ミラー層を蒸着することにより作製されます(図1)。通常は鏡状態ですが、マグネシウム・ニッケル合金側に−5 V程度の電圧をかけると、イオンストレージ層中のプロトンが調光ミラー層に移動することにより透明状態に変化します(図2)。逆に透明状態の光スイッチ素子のマグネシウム・ニッケル合金側に+5 V程度の電圧を加えると、元の鏡状態に戻ります。これにより、光ファイバーを通ってきた光信号の行き先を、電気信号に変換することなく切り替えることができます。3.発明者からのメッセージ
当初の調光ミラーは水素ガスと酸素ガスを用いて変化させていましたが、光スイッチ素子として用いるために、図1に示すような積層構造を作製して全固体化しました。この素子は電圧印加により鏡の状態と透明な状態を可逆的に変化させることができるため、信頼性の低下につながる可動部がなく、また信号減衰量が小さいことが特長で、光ファイバー用の光スイッチ素子として有望です。![]() |
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| 図1 全固体型調光ミラー光スイッチ素子の構造 透明導電膜がコーティングされたガラス基板上のイオンストレージ層、固体電解質層、プロトン注入層、調光ミラー層の4層構造から成る。 |
図2 全固体型調光ミラー光スイッチ素子の鏡状態および透明状態の外観写真 マグネシウム・ニッケル合金に負の電圧を印加することで電極付近から透明状態に変化する。 |


