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金属と糖鎖を組み合わせて生体分子を検出

 − タンパク質の直接センシングやアフィニティセンサーの応答増大に寄与 −

特許 第4258650号(出願2004.10)

1.目的と効果

 人は病気になると原因解明のために病院などで診察を受けますし、病気になる前でも健康管理のために簡単な検査を受けることもあります。疾病(しっぺい)マーカーといわれるタンパク質類や細胞類、直接の病原菌やウイルスなどを簡単に瞬時に感度よく検出するための新しい方法が望まれます。今回発明した糖鎖修飾金属(あるいは半導体)微粒子は、微粒子表面に固定した糖鎖部分と検出したい分子やウイルスなどの間のアフィニティ(親和性)を利用し、微粒子の凝集反応や色調変化で目的分子を検出するものです。金属微粒子の性質によるセンサー応答を増強させる効果も合わせて期待できます。

[適用分野]
 ● 医薬品開発分野
 ● バイオ分野一般
 ● ナノテクノロジー分野

2.技術の概要

 ウイルスなどの検出は、目的のタンパク質や細胞がもっている特有の相互作用を最大限に利用して行われています。抗原−抗体反応、さらには蛍光色素や蛍光標識タンパク質を利用して相互作用を検出する場合が圧倒的に多いのですが、蛍光標識を用いる手法では、検出したい分子との間に結合が起こっている場合だけでなく、目的の結合が起こっていない場合でも蛍光基の影響が残り、ノイズなどの問題となる場合があります。この発明の糖鎖修飾金属(あるいは半導体)微粒子は、調整が容易で取り扱いも簡単です。検出したい分子に適した糖鎖をもつ分子で金属微粒子を一層修飾したものを用意し、応答検出には微粒子間の相互作用の変化や溶液の濁度などを追跡する方法が採れるので、簡単に高感度でタンパク質や細胞などの検出を行うことができます。

3.発明者からのメッセージ

 金属や半導体微粒子がもつ性質と、糖鎖がもつ高度なタンパク質認識能を組み合わせて、生体分子を検出するための修飾微粒子を作りました。できるだけ簡単な糖鎖を、化学結合により、金属や半導体微粒子の表面に安定に固定し、溶液内に分散できるようにしました。微粒子表面の糖鎖とタンパク質などが結びつくと、微粒子間距離が変化し、反応の有無を検出できます。さらに、さまざまなセンサー応答においてこの材料を二次的な修飾に用いることで、検出したい応答のみを増強させる効果も合わせて期待できます。

図1 図2
糖鎖修飾金微粒子の吸収スペクトル
(a)未修飾金微粒子溶液
(b)糖鎖修飾後の金微粒子溶液
(c)タンパク質添加直後の微粒子溶液
(a)は粒径13 nmの金微粒子の分散溶液。これに、この発明で作製した糖鎖を末端にもつ有機分子で修飾した場合、少し色調が変化し、引き続き分散状態を保つ(b)。糖鎖を認識するタンパク質(この場合はレクチン)を入れると、認識が起こり凝集反応が起こる(c)。  

バイオメディカル研究部門
PDF(895KB:産総研 TODAY Vol.10 No.11 p.18)

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