現在位置研究成果 > 特許紹介 > 超低ビットレート向け画像圧縮技術

超低ビットレート向け画像圧縮技術

 − データ圧縮装置およびデータ圧縮方法 −

特許 第4411411号(出願2005.3)

1.目的と効果

 画像データをとても低いビットレートで圧縮すると、輪郭のボケや色情報の欠落・混合などが発生し、画質が著しく劣化してしまいます。MPEGのようにフレーム間の相関を利用する手法は高圧縮ができますが、計算コストが大きく、回線が途切れたときに復帰まで時間がかかるなどの問題があります。これに対して、この発明では、低ビットレート時の画質劣化を抑制する画像圧縮が可能で、画像データを1/50〜1/100以下に圧縮するときにJPEGやJPEG2000よりも高い画質を期待できます。狭帯域かつ不安定な通信環境下での映像伝送に適した手法です。

[適用分野]
 ● 無線画像伝送
 ● 防災・救急等画像伝送システム
 ● ビデオサーベイランス

2.技術の概要

 この技術では、高圧縮時における輪郭のボケを防ぐため、輪郭情報の保持能力に優れ、1970年代末に提案されたBTC(Block Truncation Coding)方式をベースとして、新しい画質補正フィルターを採用しています。また、重要な色の欠落や混合を防ぐため、色の分離性を高めるための色空間変換を新規に考案しました。一般に計算機内で色は赤(R)、緑(G)、青(B)で表現されますが、視認性が高く警戒色として使われることの多い黄はRとGの混色として表現されており、低ビットレートで圧縮した時に失われやすいという問題がありました。そこでこの技術では、3次元色空間を構成する軸の一つに黄も対応させた色空間を考案し、これを用いて圧縮時の問題を回避しました。

3.発明者からのメッセージ

 この技術は、救急車内の映像を医療機関などに伝送して救急救命に貢献することや、電動車いす周囲の映像を介護者が見守るためのシステムを実現するために開発されました。

 近年、ハイビジョン放送など高品位映像に接する機会が増え、無線LANや都心部での携帯電話網が整備されてきていますが、山間部での通信設備は不十分ですし、簡易な設備で安定した移動体通信を実現する技術も確立していません。この発明が、センサーネットワークやリモートセンシングなどの普及の一助になれば幸いです。

図1   図2
図2 圧縮された画像の画質比較
上段は原画像。中段はJPEGにより約1/80まで圧縮された画像。下段はこの技術により約1/80まで圧縮された画像。
図1 BTC方式による圧縮/復元処理手順
この技術では、色の分離性を高めるための色空間変換を施した後にBTC圧縮を行う。復元時には、BTC復元を行った後に、画質補正と色空間変換してRGB画像を得る。
   

情報技術研究部門
PDF(1.2MB:産総研 TODAY Vol.10 No.10 p.13)

連絡先
  知的財産部 技術移転室
  〒305-8568 つくば市梅園1-1-1 つくば中央第2
  電話:029-862-6158 FAX:029-862-6159  Eメール:aist-tlo-ml@aist.go.jp