1.目的と効果
電力系統では常に供給(発電)と需要(電力消費)がバランスしないと周波数(東日本:50 Hz、西日本:60 Hz)が変動し、運用上支障をきたします(図1)。現状では需要の変動に対し供給を追従させるように一部の発電所が出力調整しています(調整力)。風力・太陽光発電の導入はCO2排出削減に有効ですが、発電電力が気象条件により変動するので大量導入すると調整力が不足します。すでに北海道・東北・九州では、電力需要が少ない深夜時間帯に調整力が不足する懸念から風力発電の新規導入が制限されています。この発明により、各家庭の家電製品の消費電力を制御することで電力系統の需給バランスを維持し、風力発電の導入可能量を増大できます。[適用分野]
● 風力発電
● 家電製品
● 電力系統
![]() |
| 図1 電力系統の需給バランスと周波数の関係を表す模式図 出力変動の大きい自然エネルギー発電を大量導入すると、電力系統全体での需給バランスを維持するのが困難になり、系統の周波数が変動する。この発明は、負荷の消費電力を調整してこの需給バランスを維持する。 |
![]() |
| 図2 この発明の電気温水器の構造 この発明を実現する制御ボードを試作して電気温水器に組み込み、試運転に成功している。 |
2.技術の概要
これまでの電気温水器(含CO2冷媒ヒートポンプ式給湯器) は、深夜電力時間帯に一度電源を入れると貯湯槽内の湯を沸き上げるまで電力を消費し続けた後に電源を切ります。しかし、いつ電力を消費しても、深夜電力時間帯が終了する朝7時までに湯を沸き上げれば利用者にとっての利便性は変わりません。熱的エネルギーバッファをもつ空調機や冷蔵庫の電力消費、および電気的エネルギーバッファをもつ電気自動車の深夜充電も同様です。この手法ではこのような電気機器自体が、系統周波数の変動から電力系統の需要バランスを検出します。そして需要バランスを維持するように自らの消費電力を調整します。ただし定められた時刻までには必要なエネルギーを消費するので利用者の利便性は維持されます(図2)。北海道系統を模擬した数値解析を行ったところ、17万台の電気温水器(全普及台数の7割)をこの手法で制御すれば深夜時間帯における風力発電導入可能量を3倍に増やすことができると試算されました。


