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超高速デジタル信号伝送

 − アナログの波形調整によりギガビット毎秒の伝送を実現 −

特許 第4340759号(出願2004.9)

1.目的と効果

 メタルケーブルを用いてデジタル信号を伝送する場合、信号の周波数の高い成分がケーブルで減衰して信号波形がひずむため、通信速度や伝送距離に限界があります。そのため、ギガビット毎秒以上の高速デジタル信号の長距離伝送はとても困難です。メタルケーブルの1ギガビットイーサネットでは四つのチャネルを用いているため、一つのチャネルでは250メガビット毎秒の伝送容量です。この発明は、一つのチャネルで数ギガビット毎秒の伝送が実現でき、低コスト、低消費電力という特長があります。

[適用分野]
 ● 超高速デジタル通信
 ● コンピューターネットワーク
 ● マルチメディア

2.技術の概要

 この発明は、多値伝送方式の高速デジタル信号伝送システム(図1)で、送信側に複数のD/A変換器と信号遅延回路を用いた波形調整可能な回路を構成し、受信側は信号波形のひずみの程度を判定して評価信号を生成する回路構成とします。調整制御回路により受信側でのひずみが最小となるように、送信側の波形を自動的に調整します。この調整には遺伝的アルゴリズムを用います。受信信号が多値の各判定レベルの中央付近にあるか境界付近に偏っているかを、信号レベルのヒストグラムを用いて判定します。これにより、簡単な構成にもかかわらず効果的な調整ができます。また、双方向通信が高速でできるよう、調整可能な高速信号用のハイブリッド回路とエコーキャンセル回路についての技術も発明に含まれています。

3.発明者からのメッセージ

 波形のひずみを補正することはさまざまなところで行われていますが、その多くがアナログ信号をデジタル信号に変換した後に専用のプロセッサーを用いてデジタル信号処理を行っています。ところが、デジタル信号処理は処理速度を上げようとすると極端に回路規模と消費電力が大きくなってしまいます。この発明の技術は、デジタル技術にアナログ技術をうまく組み合わせることで今までにない高速信号処理ができます。

図1 図1 多値伝送方式の高速デジタル信号伝送システム
送信回路は、受信側でのひずみが最小となるように送信信号波形を調整する。受信回路は、受信信号波形のひずみを信号レベルのヒストグラムから評価する。ハイブリッド回路では、送信信号と受信信号の分離・合成を行う。
図2 図2 高速デジタル信号伝送システム(図1)中の送信回路の具体的な構成
多値の信号を送信するためD/A変換器が用いられる。遅延回路により送信データのタイミングをわずかにずらして、タイミングが違う複数のD/A変換器の出力信号波形を合成する。

情報技術研究部門
PDF(1.2MB:産総研 TODAY Vol.10 No.08 p.13)

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