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水晶振動子を用いた水素漏洩検知器

 − 水素エネルギー社会の安全・安心を支える検知技術 −

特許 第4078422号(出願2003.8)

1.目的と効果

 水素は、使用する際に二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギー源として期待されています。そのような水素を利用する社会を実現するためには、可燃性ガスである水素の漏洩を迅速に検知する必要があります。この特許では濃度0.1 vol.%以上の水素漏洩を1秒以下で検知する技術を提供し、さらに漏洩水素の濃度も測定できます。使用する水晶振動子は小型なため、検知器全体の小型化が可能で水素がかかわるいかなる場所でも応用できます。

[適用分野]
 ● 水素エネルギー
 ● 燃料電池車
 ● 安全・安心な社会

2.技術の概要

 この特許の原理は、水素の分子量や粘性が大気に比べて小さいために、水素が混入した大気の平均的な分子量と粘性が水素漏洩前に比べて減少することを利用しています。この原理に基づいた漏洩検知を実現するため、大気圧を測定する大気圧センサーと大気の平均的な分子量および粘性に依存した量を計測できる水晶振動子センサーを利用します。水晶振動子センサー出力から大気圧センサーで測定した大気圧の影響を取り除くことによって、大気の平均的な分子量と粘性のみに依存する出力が得られます。出力が減少する変化により大気中への水素漏洩を検知できます。なお、出力変化の大きさは漏洩した水素濃度に依存するので、漏洩水素の濃度も測定できます。

3.発明者からのメッセージ

 平均的な気体の分子量や粘性が変化するような気相成分変化の計測に有効な以下の測定技術を確立しています。

  1. 絶対湿度計測技術(特許4247493号)
  2. 太陽電池製造装置用シラン−水素濃度計測技術(特許第3336384号、産総研ノウハウH19NOH-433)
  3. プラズマ診断への応用技術(特願2007-223329、特願2008-205384、特願2008-273755、特願2009-145921)

 水素以外のガス検知、濃度計測のほか、プラズマ中の活性種計測などへの応用も検討しています。

図   写真1
水素漏洩の検知測定結果
水素漏洩に対応して大気圧の影響を除いた後の水晶振動子センサー出力が変化し、水素漏洩が検知できる。センサー出力変化量は漏洩水素濃度(0.1〜100 vol.%の範囲で測定可能)に依存しており漏洩水素濃度も同時に測定可能。応答・復帰時間は1秒以下で高速。
  水晶振動子の外観
振動する水晶振動子にガス分子が衝突してエネルギーを与えることにより水晶振動子センサーの出力が変化する。その変化量は衝突するガスの平均的な粘性・分子量に依存するためこの出力から逆に衝突しているガスの情報が得られる。

計測フロンティア研究部門
PDF(1.3MB:産総研 TODAY Vol.10 No.07 p.21)

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