1.目的と効果
近年、機械部品の微細化に伴い、厚さ数ナノメートル、すなわち単分子から数分子の厚さの潤滑膜が必要とされています。有機分子の自己組織化膜は簡単なプロセスで、金属や半導体などの固体表面上に、厚さ数ナノメートルの有機分子膜を形成でき、潤滑膜や電子線レジストなどへの適用が期待されています。今回この自己組織化膜を利用し、層間の分子が互いに結合した多層構造の分子膜を用いた低摩擦の潤滑膜を開発しました。[適用分野]
● 微細機械やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の潤滑膜
2.技術の概要
自己組織化法は、固体基板を溶液に浸漬することによって厚さ数ナノメートルの分子膜を容易に作製できる手法です。この手法を応用して、低摩擦を示す潤滑膜を作製できるようになります。これまでの自己組織化膜では、一般的に片側に金などの金属基板と結合するチオール基、反対側に、疎水性を示すメチル基をもつアルカンチオールの分子を金属表面に並べて、単分子膜を形成してきました。しかし、このような単分子膜の摩擦係数は0.2−0.4以上と必ずしも低いとは言えず、潤滑膜としての適用には、さらなる改良が必要とされてきました。この課題を解決するために、単分子膜の上にもう一層の分子層を形成し、この層を柔軟な層とすることで摩擦係数を0.1程度にまで低減させました。3.発明者からのメッセージ
自己組織化法は、用いる分子の官能基・分子鎖長を選択することにより、目的に応じた膜厚・機能をもつ分子膜を固体表面上に作製できます。分子種や作製手法の工夫により、より耐摩耗性が高く、低摩擦を示す分子潤滑膜の開発が期待できます。![]() |
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| 多層膜の模式図 固体基板上に成膜した分子膜上に、柔軟な層となる分子膜を成膜する。分子膜間に金属イオン(銅イオン)を導入することにより、多層膜を形成することができる。 |
単層膜(従来技術)と多層膜(本発明技術)の摩擦係数の時間変化 |


