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表面積の大きな酸化チタンナノシート構造体

 − 酸化チタン粉末をアルカリ水溶液で処理する簡易な方法 −

特許 第4214226号(出願2004.1)

1.目的と効果

 酸化チタンは、色素増感太陽電池の光電極や光触媒などに使う材料の最も有力な候補として精力的に研究が行われています。酸化チタンをこれらの用途に利用するためには、そのナノ構造を制御することが重要です。色素増感太陽電池の光電極が増感色素をより多く保持したり、光触媒が環境汚染物質をより効果的に吸着・分解したりするためには大きな表面積が必要になるからです。この発明は、粉末状の酸化チタンをアルカリ水溶液中で処理するという簡易な方法で、表面積のとても大きなナノシート形状の酸化チタンとその集合体を提供するものです。

[適用分野]
 ● 色素増感太陽電池などの光電極
 ● 光触媒・触媒担体
 ● 吸着剤

2.技術の概要

 これまで酸化チタンをアルカリ水溶液で処理することにより、チタニアナノチューブが得られることが知られていました。その生成過程ではナノチューブ構造の前駆体としてナノシート構造の酸化チタンが生成します。このナノシート構造の酸化チタンは、最長方向の長さが10〜300 nmの波形の曲面形状左図(A)、その一部が均一に巻回した円筒形状左図(B)、その一部が不均一に巻回した円錐形状左図(C)などの形状をしており、それらが花状の集合体を形成しています。これらの構造体は、酸化チタン粉末をアルカリ水溶液で処理し、ナノチューブ構造を形成する前に取り出して酸や蒸留水などで洗浄し、乾燥することにより容易に得ることができます。

3.発明者からのメッセージ

 この酸化チタンナノシート構造体は、原料となる粉末状の酸化チタンや、それをそのままアルカリ水溶液処理し続けて得られるチタニアナノチューブよりも通常は大きな表面積になります。比表面積は500 m2/g以上に及ぶため、広い面積が必要なさまざまな用途で利用が期待されます。また酸化チタンナノシート構造体を原料として、さまざまな用途に合わせてナノ構造や結晶構造を制御した酸化チタンが得られる可能性もあります。

図   写真1
酸化チタンナノシート構造体を模式的に示す概略図   酸化チタンナノシートの透過型電子顕微鏡(TEM)写真

エネルギー技術研究部門
PDF(1.2MB:産総研 TODAY Vol.10 No.04 p.23)

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