1.目的と効果
径が2 nm〜50 nmの孔をメソ孔と言います。均一なメソ孔をもつ多孔体は一つの応用展開として、ファインケミカル分子や医薬品などの分子サイズを認識するナノ空間としての利用が進められています。このような多孔体の構造中に有機官能基を導入すると、より選択的な反応場の構築もできるようになります。このような研究は、今までシリカ系材料を中心に進められてきました。今回は、界面活性剤存在下でのホスホン酸を利用した合成法を提案し、非シリカ組成のハイブリッドメソ多孔体の合成を実現しました。これにより、無機種の化学的性質も利用した機能複合型メソ多孔体の高度な構造設計ができるようになります。[適用分野]
● 有害化学物質吸着材
● 高機能触媒
● 機能複合型デバイス
2.技術の概要
ホスホン酸は、リン原子と有機官能基中に存在する炭素原子とが共有結合したリン酸類似の化合物であり、触媒存在下で多様な有機官能基を含むホスホン酸化合物を合成することができます。この技術は、界面活性剤の存在下でホスホン酸化合物中のリン酸類似ユニットと金属種との反応性を利用して、金属酸化物−有機(ハイブリッド)骨格を形成させると同時にナノメートルレベルの構造規則性を制御することで、非シリカ組成のハイブリッドメソ多孔体を合成できるようにしたものです。あらかじめ無機種と有機種との間に結合が設計できるので、例えば、モノホスホン酸を用いた合成では骨格表面に、またジホスホン酸を用いた合成では骨格内部に、有機官能基を任意に導入できます。3.発明者からのメッセージ
リン酸は多様な金属種と反応することが知られており、この技術では、無機ユニットの多様化が期待できます。ハイブリッドメソ多孔体の骨格内部は非シリカ組成の金属リン酸塩類似の無機ユニットと有機官能基が交互に配列していると考えられます。有機官能基を利用した特異反応場としてだけではなく、酸化還元特性、光触媒機能、電気的特性、磁気的特性などの無機ユニット固有の化学的性質を活用した応用展開を提案していきたいと考えています。![]() |
| 界面活性剤存在下でのホスホン酸と金属種との反応を利用した非シリカ組成のハイブリッドメソ多孔体の合成法 *赤色の部分は有機官能基。 |
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| 金属リン酸塩類似の微小ユニットが規則的に配列したハイブリッドメソ多孔体の骨格内部の理想的な構造モデル
*点線で囲んだ箇所が金属リン酸塩類似の微小ユニットに相当。赤色:有機官能基、ピンク色の△:リン酸の4面体ユニット、緑色の□:金属種の8面体ユニット。 |


