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静電気で駆動する3次元マイクロステージ

 − アイデア次第で新しいデバイスにも応用可能 −

特許 第4143729号(出願2004.3)
関連特許(登録済み:国内1件、海外4件、出願中:国内1件)

1.目的と効果

 微動機構で使用されるピエゾアクチュエーターは、サイズに比較して変位量が小さいという欠点があり、またヒステリシスがあるために正確な位置決めを困難にしていました。そこで、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によって、数mm角のシリコンチップ上に、ヒステリシスのない櫛歯(くしば)型静電アクチュエーターで駆動する3次元マイクロステージを実現しました。開発したステージは、AFM(原子間力顕微鏡)の走査機構としても利用でき、計測技術の高度化を通じ、科学技術の発展に寄与します。また、3次元の動きを生み出す仕組みは家電や情報機器にも利用でき、それらの性能を向上させることも期待できます。

[適用分野]
 ● 走査型プローブ顕微鏡
 ● マイクロマニピュレーター
 ● 光スキャナー

2.技術の概要、特徴

 基板に対して平行な櫛歯型静電アクチュエーターの変位から、垂直方向の運動成分を得るために、テーブルを支えるサスペンションに基板に対して斜めに傾いた板ばねを組み込み、その弾性変形を利用することで、運動方向を変換できるようにしました。さらに、各アクチュエーターを拘束する補助サスペンションを追加して3組の静電アクチュエーターの干渉を防ぐことで、水平方向に最大約7 µm、垂直方向に最大約3 µmの変位を実現し、AFMの駆動機構として3次元マイクロステージを用いて形状像の取得に成功しています。ピエゾスキャナーと比較したときのほかの特長として、高温環境への対応、高い固有振動数も挙げられます。

3.発明者からのメッセージ

 3次元マイクロステージは、基本特許にあたる「静電アクチュエーターの運動方向変換機構」(特許4143729号)を利用して実現されました。この基本特許は、MEMS技術との相性が良く、その結果、簡単なプロセスで3次元マイクロステージを作製し、動作させることができました。斜めに傾いた板ばねの向きを調整することで、並進運動に代えて回転運動をさせることもできます。例えば、テーブルにレーザー光を照射し、光スキャナーとして利用することも可能です。

図   写真1
3次元マイクロステージの原理
基板に対して平行な3つの力(静電気力X、Y、Z)から基板に対して垂直の動きを実現するところに特長がある。その鍵を握るのがテーブルを支えるサスペンションに組み込まれた傾斜した板ばねである。
  3次元マイクロステージの電子顕微鏡像
ステージ部全体のサイズは1.2 mm×1.4 mm、厚さは0.02 mm。MEMS製造技術を利用して作製しているので、大量生産も可能。

先進製造プロセス研究部門
PDF(1.3MB:産総研 TODAY Vol.9 No.11 p.25)

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