1.目的と効果
糖鎖の合成時には単体の糖ではなくヌクレオチドと結合した糖ヌクレオチドが基質として用いられます。この糖ヌクレオチドを合成できる安定な酵素は、効率的な糖ヌクレオチドの供給のために必要です。超好熱古細菌ゲノム情報を利用した探索の結果、糖ヌクレオチドを合成できる熱に安定な酵素を発見しました。この酵素を用いると効率的に糖ヌクレオチドを生産できるので、タンパク質医薬品への特徴的な糖鎖の付加の際の基質供給が可能になります。また熱に安定なので固定化することでリサイクルが可能となり、糖ヌクレオチドの安価な供給にも貢献できます。[適用分野]
● 糖鎖関連分野
● 創薬分野
● 化学工業分野
2.技術の概要、特徴
超好熱古細菌のゲノム情報中から発見された、糖ヌクレオチド合成活性を持つと推定される酵素を大腸菌で生産させました。その酵素の特徴・機能・活性を解明したところ、80 ℃で3時間加温しても半分の活性が残り、熱に対してとても安定なことが明らかとなりました。活性については、グルコース1リン酸をはじめさまざまな糖リン酸とさまざまなヌクレオシド3リン酸分子を結合させて、糖ヌクレオチドを合成できることがわかりました。確認された活性は、アミノ酸配列の類似性から予測されていた以外の活性も含んでいました。これは、超好熱古細菌がもつ酵素・タンパク質には、既知の酵素との単なる類似性からは予測もできない多くの可能性を秘めていることを示しています。3.発明者からのメッセージ
超好熱古細菌が持っている全ての酵素・タンパク質は熱にとても安定だという特徴を持っています。そのほかにも、複数の活性を併せ持っているとか、これまでに発見されていない組み合わせの基質を用いるなどさまざまな新規機能・活性を示すものもあります。さらに、ヒトや大腸菌の酵素では毒性を示すような金属イオンを有効に利用できます。熱に強いだけでなく、普通の酵素・タンパク質には毒性を示す有機溶媒を含む反応液中でも機能を示します。これらの特性から超好熱古細菌は、化学工業で利用されている条件でも利用可能な新規酵素・活性を発見する可能性が高いことを示しています。今後さらなる活性の探索により、有用な酵素が多数発見される可能性があります。![]() |
| 本酵素(ST0452)がつかさどる糖ヌクレオチド合成反応:糖とヌクレオチド結合反応のスキーム |
![]() |
| さまざまな糖リン酸とヌクレオチドとの結合反応により合成された糖ヌクレオチドは、タンパク質表面等での糖鎖合成の基質としての応用が可能 |


