1.目的と効果
人体に安全でかつ包接機能を示す物質は、生体内での薬物の徐放制御や有害物の捕捉・無害化、さらには食品中の味や香りの調節などで高い関心がもたれています。シクロデキストリンはそのような分子としてよく知られていますが、私たちは(1→4)−β−グルコシド型糖鎖骨格からなる天然由来のキシログルカンが、ある種の低分子を介してゲル化することを発見しました。この水性ゲルは、低分子を包接した積層型のナノ構造をもつと考えられることから、その高い包接機能を活かして、今後、健康や機能食品分野において広範な応用が期待されます。[適用分野]
● 健康分野(薬物の担持・徐放、有害物の捕捉・無害化)
● 食品分野(味や香りの調節)
2.技術の概要、特徴
セルロースと類似の(1→4)−β−グルコシド型主鎖構造をもち、側鎖がキシロースあるいはガラクトースからなるオリゴマーで修飾されたキシログルカン(XG;図左上)は、セルロースと異なり水溶性を示します。この水溶液に、XGのセルロース骨格と水素結合やファン・デル・ワールス相互作用が可能な平面型の色素分子、例えばコンゴーレッド(CR)を少量添加すると容易にゲル化することを見いだしました。このゲル(XG=0.75 %、CR=0.5 %)を小角X線散乱法で解析すると、5個のXG糖鎖がその分子間にCRを包接して積層した板状構造モデル(図右)と一致することがわかりました。この積層数はXGやCRの濃度で変えることができます。3.発明者からのメッセージ
キシログルカンの側鎖構造を分子設計することにより、多様な低分子を包接できる水性ゲル構造体を構築することが、これからの課題です。包接される低分子は、側鎖との水素結合と主鎖骨格との分子間力の要件を満たすものであればよく、シクロデキストリンと比較してサイズ的な制限は小さいことから種々の水性ゲル構造体の創成が可能であると予想されます。XGは種子由来の天然多糖類で安全であることから、この包接機能を活用した応用が期待されます。![]() |
| 新規糖鎖ナノ構造体 キシログルカン(XG)とコンゴーレッド(CR)の分子構造、および小角X線散乱法から得たナノ構造モデル |

