1.目的と効果
この特許は、大出力のレーザー誘導散乱増幅器を開発中に生まれた派生技術に関するもので、増幅器中の誘導散乱媒質が励起光やストークス光による反応・分解生成物によって光取り出し窓などの光学部品に損傷を与えない技術を提供するものです。誘導散乱増幅装置は、誘導ラマン散乱過程や誘導ブリルアン散乱過程などを用いて、励起レーザー光を波長の異なったストークス光に高効率に変換する装置として使われています。また、入力ストークス光の波形によって、出力ストークス光のパルス幅、ビーム数を制御することも行っています。この技術の誘導散乱容器では、中心軸を鉛直方向にし、上下に3層構造の媒質を水平方向に流す構造とすることで、誘導散乱媒質の劣化、および容器の窓などの光学部品の損傷を防止でき、さらに、増幅光の変換効率の改善に繋がります。
[適用分野]
● レーザー光の制御、流体中の不純物の除去
2.技術の概要、特徴
これまでの誘導散乱増幅器の容器には、誘導散乱媒質だけが充填(じゅうてん)され、その両端に励起光とストークス光を透過させる窓が取り付けられていました(左図)。この技術では、鉛直方向に設置した容器の中央部に誘導散乱媒質(例えば、メタンガス)、その上部には誘導散乱媒質より軽い媒質(ヘリウムガス)、下部には重い媒質(アルゴンガス)を充填し、それぞれの媒質を流れ方向制御板付きフィルターを通して水平方向に流しています(右図)。誘導散乱媒質中で生じた不純物はフィルターで除去し、誘導散乱増幅器の動作特性の劣化を防止します。さらに、誘導散乱媒質と窓の間にレーザー光やストークス光による光化学反応で不純物を生じない媒質を流し、不純物の焼き付きによる窓の損傷も防止します。また、容器中の媒質の流量と流れ方向を調整することで、相互作用領域の長さおよび位置を変え、増幅器の利得を最適化することができます。特に、励起レーザー光とストークス光が逆方向に交差する誘導散乱増幅器では、両光の交差領域と誘導散乱媒質の位置を一致するように調整できるので、励起光からストークス光への変換効率の改善に役立ちます。3.発明者からのメッセージ
広範に利用されている誘導散乱増幅装置、レーザー装置、不純物除去装置に対応でき、動作特性の劣化を抑制するとともに、窓などの光学部品の損傷を防止することも可能にするこの特許技術は、誘導散乱増幅装置の長期間の安定した運転を可能にし、メンテナンスの回数を少なくすることに多いに役立ちます。![]() |
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