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集積化された人工生体膜チップの作製方法

 − 生体膜機能の高精度・高効率解析を目指して −

特許 第4150793号(出願2004.3)

1.目的と効果

 生体膜は細胞と外界とのインターフェースになっており、情報伝達などの重要な役割を果たしています。そのため、生体膜機能を分子レベルで理解・制御することは、創薬や診断技術など健康・医療に関連した技術開発に重要です。しかし、生体膜が脂質膜や膜タンパク質からなる複雑なシステムであるため、その機能を精密に計測・制御することはこれまで困難でした。この課題を克服する手法として、私たちは固体基板表面に人工的なモデル生体膜を集積化した新しいタイプのバイオチップ「集積型人工生体膜」の開発を進めています(図1)。

[適用分野]
 ● 創薬スクリーニング、診断、環境計測

2.技術の概要、特徴

 この技術は、光重合性脂質を用いて光リソグラフィー技術でポリマー脂質二分子膜を基板表面にパターン化形成し、生体膜と同等の物性(例:流動性)を持つ脂質二分子膜をポリマー脂質の間に組み込むものです(図2)。光重合に用いられる紫外光照射量を制御することで、ポリマー脂質膜の形成量を制御し、脂質膜内における分子の側方拡散をコントロールすることが可能です。また、肝臓内で薬物代謝をつかさどり、医薬品開発に密接に関与しているチトクロムP450酵素をパターン化脂質二分子膜に組み込み、活性を検出することにも成功しました。今後、集積型人工生体膜という基盤技術を用いて、多様な生体膜機能をチップ上で再現して定量的に解析することが可能になると期待されます。

3.発明者からのメッセージ

 ポリマー脂質二分子膜とハイブリッド化された人工生体膜は、安定性に優れており、今後さまざまな膜タンパク質の集積化が可能になるものと考えられます。基板表面にある人工生体膜は、表面プラズモン共鳴(SPR)など、高感度な界面分析手法で解析できるという利点を持っていますので、膜タンパク質の機能を高感度、高精度に解析できるチップ開発にご興味のある方は、お気軽にご連絡下さい。

図1
  図2
図1 集積型人工生体膜の概念図
基板表面でパターン化された脂質膜を利用して、膜タンパク質と脂質の組み合わせから膜機能を再現し、高精度・高感度解析を可能にする。
 

図2 パターン化脂質膜作製手法
(上)パターン化脂質二分子膜概念図と光重合性脂質の分子構造
(下)スライドガラス上でパターン化された脂質膜の蛍光顕微鏡画像:ポリマー脂質二分子膜(A)と組み込まれた流動性脂質二分子膜(B)。流動性脂質膜には生体膜を模した脂質、タンパク質を組み込むことができる。


セルエンジニアリング研究部門
PDF(1MB:産総研 TODAY Vol.9 No.03 p.20)

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