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図1 半導体ナノ粒子水分散液の紫外線照射による3原色発光 |
1.目的と効果
3原色で明るく発光し、サイズがそろったガラス微粒子の作製方法と、基板上への配列方法を提供します。これまで、経時安定性のよい希土類イオン蛍光体が、ディスプレーなどに用いられてきました。しかし、発光の減衰時間が1 ms程度と長いため光吸収・発光のサイクルが遅く、容易に輝度飽和が起こります。これに対して、II−VI族などの半導体ナノ粒子(粒径2−20 nm程度)は、界面活性剤でコーティングして表面欠陥を減らせば、サイズに応じて種々の色で発光します(図1)。発光の減衰時間が10 ns程度と短いため、輝度飽和が起こりにくく高輝度が得られます。このような半導体ナノ粒子は溶液法で合成されますが、分散液はあまり安定でなく、工学的応用も限られます。そこで、半導体ナノ粒子を、耐光性や安定性がよい透明なガラス微粒子に閉じ込め、劣化を抑制した固体発光材料を開発しました。
[適用分野]
● ガラス微粒子蛍光体
● 発光デバイス部材
2.技術の概要、特徴
発光効率3 %以上のガラス微粒子は、水溶液法で合成した水分散性の半導体ナノ粒子を、ゾル溶液中に分散し撹拌(かくはん)するゾル−ゲル法で作製します。特にアルカリ性水溶液中で少量のアルコキシドを素早く反応させるストーバー法が適しており、半導体ナノ粒子が核となってガラスが成長し、ナノ粒子を中心付近に含むガラス微粒子が得られます。ガラス微粒子の粒径は、試薬の混合比率により30−800 nmの範囲で制御でき、粒径の標準偏差は平均粒径に対して20 %以下にそろっています(図2)。ガラス微粒子中のナノ粒子分散濃度は、2×10−5〜5×10−4 mol/Lと、分散液における10−6 mol/L程度に比べて高く、そのため高輝度の発光が得られます。さらに、各発光色のガラス微粒子を基板上で配列する方法を考案しました。RGB発光の半導体ナノ粒子を、粒径が大、中、小のガラス微粒子中に各々(おのおの)分散します。直径0.1 mm程度の貫通孔が並んだガラス基板上に、直径50−1000 nm程度の貫通孔が列状に開いた高分子膜を貼(は)り付け、ガラス微粒子を小さなものから順に塗布して固めると、貫通孔が小、中、大の部位に、それぞれ青、緑、赤色発光のガラス微粒子が固定されます(図3)。この3原色発光基板に、既存の電子−紫外光変換層を組み合わせれば、電子励起型のディスプレーが構成できます。
3.発明者からのメッセージ
この技術を用いれば、蛍光性の半導体ナノ粒子がガラスに内包された、長期安定性の良い固体微粒子蛍光体が得られます。さらに、基板上の所望の位置に各発光色のガラス微粒子を配置することもできるため、各種発光デバイスへの応用に適した、優れた新規発光材料を提供できます。![]() |
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図2 ゾル−ゲル法の条件を変えて作製した、青色発光ナノ粒子を分散した粒径小のガラス微粒子、および、緑色発光ナノ粒子を分散した粒径大のガラス微粒子の模式図 |
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図3 RGB発光を示す半導体ナノ粒子を各々分散した、粒径の異なるガラス微粒子をガラス基板の所望の位置に固定する方法の模式図 |



