1.目的と効果
精確な粒径分布測定が難しいとされている噴霧液滴に対して、噴霧溶液に微量の不揮発性物質を添加したうえで噴霧し、その液滴が自然乾燥したあとに残る固体残留物(蒸発残渣(ざんさ)粒子)の粒径分布を電気移動度分析法により求めることで、噴霧液滴の粒径分布を高い精度で推定する方法(以下、自然乾燥法と呼ぶ)が報告されています。しかし、自然乾燥法では、液滴数が多く十分な乾燥ができない場合など、測定精度が悪化するといった問題が生じます。この特許技術は、噴霧液滴を容易に採取・乾燥し、効率よく蒸発残渣粒子を得ることができるサンプリングプローブを開発することによって、自然乾燥法の問題を解決し、精度と信頼性の高い液滴径分布測定を実現するとともに、広範な噴霧液滴への適用を可能としました。[適用分野]
● 熱機関における燃料噴射
● 工業製品・医薬品・食品など製造プロセスにおける造粒・塗装・コーティング
2.技術の概要、特徴
清浄乾燥空気を利用して噴霧液滴を採取・乾燥することができるサンプリングプローブ(図1)を用いると、自然乾燥法において問題となる液滴の不十分な乾燥、液滴同士の合体、器壁などへの付着による液滴および蒸発残渣粒子の損失などが防止でき、効率よく蒸発残渣粒子を得ることができます。分解能にかかわる特性が理論的によく解明されている電気移動度分析法を用いて、このサンプリングプローブを介して得られた蒸発残渣粒子の粒径分布(図2)を求めることで、噴霧液滴の粒径分布(図3)を高い精度で推定することができます。また、電気移動度分析法は、原理上、対象とする液滴数に下限がないため、きわめて低濃度の噴霧液滴にも適用できるほか、このサンプリングプローブを用いることにより、高濃度の噴霧液滴にも対応が可能となります。さらに、添加する不揮発性物質の濃度を調節することで、広い範囲の液滴径分布の測定ができます。
3.発明者からのメッセージ
広範な液滴数および液滴径にも対応でき、高精度の液滴径分布測定が実現可能なこの特許技術は、燃料噴射や造粒・塗装・コーティングなどで用いられる多種多様な噴霧液滴の計測・評価・制御に大いに役立ちます。
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図2 蒸発残渣粒子の粒径分布 |
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図1 サンプリングプローブの概念図 |
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図3 噴霧液滴の粒径分布 |



